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車載拡声器アンプ NAS-250C=125W×2出力
バッテリー上がりで繰返し落下、起動不良続出か
主接点不導通により、起動抵抗焼損 or 主接点焼損
代替R Dの空中配線付加 or 代替主リレー回路付加で復旧 & バッテリー充電・容量増

 前回統一地方選挙前頃までに車載拡声器アンプが次々と起動不良となって、後日修理するつもりで倉庫に置いていたが、今期の準備として機材整備を始めて正常動作を確認していたアンプが突然に目の前で起動不良に陥り 、延べで250W機3基6アンプ全部、150W機1基2アンプ中1アンプが動作できず(=8アンプ中7アンプ起動不良)機材不足となって、緊急に修理が必要になった。

 修理法は結局、何らかの理由で劣化損壊した起動抵抗に、外部ジャンパー配線で代替物を接続することで多くが簡単に復旧できることが分かった。
 下掲[図1]「NB-1502回路図」に赤点線で書き加えたR44’D9’である。
 →真の原因は他にあり!追及中! (修理後の最大出力が心持ち小さめに感じて、念のためメーカー相談室に問い合わせると、R44は図面上330Ω1/2Wでありカラーコードで橙橙茶茶(:3311=330Ω1%)、10Ω以下にしないと起動しないというのは他に原因があるとされ、要再調査となった。 20年前後昔の機種で色彩が暈けていて橙橙金金(:33−1±5=3.3Ω5%)にも見えて1%精度を要求する箇所には見えなかったので3.3Ωかと思っていたが間違いであった。 既に稼働中はトラブル発生まで放置だが、以降は暫時保留!とする。バイアスの定電圧ダイオードの電圧が経年使用で上がって出力段の無負荷電流が異常に増えたとか・・・・・・・・・・??2019/02/01追記)
 取り敢えずは有り合わせで、R44は1/4W型20Ω3本を並列接続(≒6.7Ω)したり4.7Ω1/2Wを繋ぎ、D9は電源整流用ダイオード1A規格(10D-1a相当品)として、プリント基板内には立ち入らずに基板外のジャンパー配線で4アンプ、外付き基板で3アンプを復旧した。
 イモ半田不導通不良も発見。 のぼる電気製でも同様だったから、選挙特需増産体制で急遽寄せ集めてた技量の低い作業者を教育訓練が不十分のまま作業させて作業不良を起こしている問題。 イモ半田、半田抜けなど組立不良発生率が桁違いに酷すぎる! 4年ごとの統一地方選挙特需時は外注指導の厳しい家電外注下請けにでも臨時に組立を頼んだ方が品質が安定する様に思う。
 主回路リレー接点RY2導通不良も3アンプあり、これは自動車用リレーと代替リレー回路を外付けして復旧させた。 See→追記・補足:起動不良+主接点RY2不良対応
 以下、2019年春〜夏用の機材準備開始に当たり、多発したUNIPEX(日本電音kk)旧アンプNAS-250C/NB-1502起動不良の修理例について至急報告する。

 主電源の大容量コンデンサー(3300〜4700μF)は、かっては最も劣化が激しい部品で、そのメーカーによっては選挙を2〜3回経ると容量抜けしてしまって酷い音質劣化を起こしていた。 原因はリップル電流規格よりかなり大きい音声電流を流していたことで、2A前後の定格に最大10Aを流して劣化させていた。UNIPEX製品で言えばNT-101/NB-101、NT-60、NT-40など([図2]下図NT-101/NB-101回路図)の時代である。
 その改良製品として出されたのが、ここで述べているNB-1502(150W)、NAS-250C(250W)だが、そこでは電源チョークコイルを排し、前後用2アンプ内蔵方式として軽量化・コストダウンを図ったことで、電源投入時の突入電流の制限素子(チョークコイル)が無い分、バッテリー電源の緩投入が必要になって、その制御が集中的に故障しているのが現状である。

 主コンデンサーは、交流電流分許容値の大きく、衝撃電流に強い「ハイリップル」仕様を選ぶことと、バッテリー直結型にしたことで、音声出力電流過大によるトラブルは無くなったようだ。(図面で3300μFが実装2200μFというのはバッテリー直結方式で必ずしも大容量を必要としなくなったからか?)。 旧型時代は、某社製コンデンサーではほとんどが劣化して交換が必要だった。 過大交流分電流が早い劣化の主因であることは幕張メッセCEATEC会場で日本ケミコンの技術者に相談していて気付き、「小容量に分割実装する方が丈夫だ。3300μFなら1100μFを3本並列で使うべし」と助言されていたのだが、同社製品自体は比較的良く耐えて劣化が少なかったので、以降の当該補修品はニッケミ製を選んで分割装着している。 ニッケミ氏からは「劣化した某社製品が悪い訳じゃない。交流分の著しい過電流が拙いのだ」とも言われたのだが、僅かな値段の差なら丈夫で信頼性の高い方で行きたい。
NB-1502
[図1] NB-1502 UNIPEX車載拡声器電力増幅器回路図

遅延起動回路動作  <1.2>

 UNIPEX車載拡声器アンプには多くの場合、主電源リレーがあって、これをコントロールアンプの電源スイッチから制御してON/OFFしているのだが、ダイオードを介して制御していて、電源+−逆接続では電源が動作≒破損しないようになっている。(以下NB-1502回路図参照、NAS-250Cも出力トランシスター数が2倍以外は素子番号を含めてほぼ同じ)

 新型での遅延投入にもこの逆極性保護は踏襲されて、リモートON受けリレー「RY3」を駆動するトランシスタ−Tr.14にダイオードD12、D10を挿入して逆電流を阻止している。
NT-101
[図2] NB-101/NT-101 UNIPEX車載拡声器電力増幅器回路図
(ここは[図3]に示す様にTr.14のコレクター側にあるD12をエミッター側に付け替え、R45の一端もエミッターに結べば足りて、D10は不要となる。最低限は動けば良いのだが、コストダウンからみれば回路の最適化漏れではあり、拘りの回路設計者としては臍を噛む思いだろう)。
最適化例
[図3] NB-1502/NAS-250C UNIPEX電力増幅器
逆電圧阻止回路の最適化例
時々最適化漏れで設計者としては臍を噛むが、働けば可(w
 順方向電圧印加では、コントロールアンプでリモート制御線が接地されるとD10〜Tr.14を介してリレー「RY3」が働いて、(TP1から)起動抵抗R44回路を介して主コンデンサーC15{2200μF(NB-1502現製品)〜3300μF(当初図面)〜4700μF(NAS-250C)}に充電されて(TP2)、次第に電圧が上がってフル電圧に近づき、 R42、R43に分圧された、ある設定値を超えて主リレー駆動のTr.13に電流が流れて主リレーRY2が投入されて、 (起動抵抗R44回路により)既に充電されて電圧の上がった主コンデンサーC15が電源に直結され、拡声器アンプ全体が動作モードとして立ち上がる。
 この間の起動のための遷移領域期間中に音声信号が加わるのは好ましくなく、コントロールアンプ起動の大きなスパイク電圧はホーンスピーカーを壊す怖れもあって阻止したい。 そのため音声入力をリレーRY1で接地・短絡してあり、電源ONからの時素(1秒ほど?Tr.1〜2)を経てRY1を駆動し音声入力側に切り替えている。その抑止時素は、主アンプの起動時素より長いことが設定条件だ。
 音声出力が最大の時に主回路接点RY2が落ちる≒バッテリーが上がると、その時の大電流が起動抵抗を流れて劣化し、時に焼損に至る!
 この起動抵抗(と逆阻止ダイオード)が起動瞬時の大きな負荷に耐えきれなかった(=容量が小さすぎた)ことでの劣化不良と思われる。この2つの部品を他と共通化せずに、インパルス負荷の思わぬ破壊力を考慮して、せめて1W型抵抗と電源整流用ダイオード(≒1A程度)を選んでいたら起こらないで済んだトラブルだろう。(See→追加部が真因であれば抵抗は焼き切れる)

起動回路定数推定計算  <1.3>

 回路図にはその定数が記載されてないし、現物のカラーコード表示も色褪せて判別困難、基盤に立てた実装で直接測定もできないという悪条件だが、劣化のR44とD9の値は、下記のようにその動作を仮定して算出し、実装試験すれば良い。 R44は、「橙橙茶金」(=331±5=330Ω±5%)か「橙橙金金」(=33−15%=3.3Ω±5%)とも読めて(写真3)確定できず、R44抵抗器単体では計測不能、直列ダイオードD10を含んで順方向で約500Ω余だが、主リレーRY2を投入できない。 入力&縦続接続増設用として2つ有るDINサブミニ10Pケーブル・コネクターの右側は不安定な接触不良で、接点復活材を吹き掛けても回復できず使用不能。 そのDINサブミニ10Pケーブルにも相性が有って特に酷い接触不良のケーブルがあるが、完全に安定したケーブルはない。 10PDINのコネクター&ケーブル双方に問題有りと考えるべきだろう。
1).投入電流制限が目的の場合  <1.3a>
 投入時のピーク電流からR44を決めれば、主コンデンサーC15の電圧が当初設定の値に達すると主リレーRY2投入となる。
電源電圧が13.2V、逆流阻止ダイオードの電圧降下を0.7V、ピーク充電電流を2Aとすれば、
 R44=(13.2−0.7)/2=6.25Ω → 手持ちの 20Ω1/4W型の3本並列で 6.7Ω 0.75W
尚、47Ω1/4Wでは起動できたが100Ω1/4Wでは起動しなかった。 カラーコード(写真3)は「橙橙茶金」330Ωではなく「橙橙金金」(=33−15%=3.3Ω±5%)と読むべきだろう。見かけ上「茶金」にほとんど差は見られず「金金」とも見える曖昧な色なのだから。
充電エネルギーは(1/2)C14V2 =(1/2)×(4700×10−6)×13.22=0.409J、
これが均して0.409秒で消費された場合の仕事率は0.409/0.409[J/s≡W]=1W、
合成抵抗の6.7Ω 0.75Wは、元々の1/4W〜1/16Wの3倍〜12倍なので充分耐えられるのではないか?!
2).遅延時間確保が目的の場合  <1.3b>
 前段アンプであるICの型名も分からず動作状況が不明だが、2アンプ内蔵なので、仮にオペアンプLM723準拠、LM747準拠と考えて試算すると、動作電流 10〜40mA×2で 20〜80mA、または85mA Max(By「日本エヌエス LINIWAR DATABOOK/NATIONAL SEMICONDUCTOR」)、13.2V印加として、
  RIC=13.2/(20〜85)=660〜155Ω、
  加えて、出力段トランシスターに動作バイアスを与える定電圧ダイオード回路に40mAを想定→330Ω
起動回路定数接続1
[写真1〜2] 起動抵抗R44 & D9追加装着試験
@NAS-250C/UNIPEX
起動回路定数接続2
R44&D9
R44&D9
[写真3]橙橙金金=33-1±5%=3.3Ω?
 or 橙橙茶金=331±5%=330Ω?
起動回路定数接続3
起動回路定数接続4
[写真4]電源リモート制御線ジャンパー:D10−CN3中央
アンプのダミーロード
[写真5]パワーアンプの疑似負荷抵抗器for出力試験
8Ω75W↑ & 8Ω100W↓ダミーロード
(モニタースピーカーへは約1/128=−21dB)
ダミーロード
[図4]ダミーロードの構造
LED基板
[写真6] LED基板(TP1)@NAS-250C/UNIPEX
  合成抵抗としては、220〜105Ω
これとR44の並列値でC14との時定数回路を構成する。時定数を仮に0.5秒と仮定すると、
合成抵抗、RIC//R44 =T/C14=0.5/(4700×10−6)=106.3Ω
    =(R44×(220〜105))/(R44+(220〜105))
106.3×(R44+(220〜105))=(R44×(220〜105))
(R44×(220〜105)−106.3)=106.3×(220〜105)
R44=106.3×(220〜105)/((220〜105)−106.3)
    =106.3×220/(220−106.3) or 106.3×105/(105−106.3)
    =206Ω or −Ω
この抵抗値では、印加電圧13.2Vが抵抗分圧されて、到達電圧不足で起動できない可能性が強い。

「突入電流制限」で定数決定  <1.3c>

 以上により、突入電流制限目的でR44を6.7Ωとして起動動作試験を行った結果は起動、47Ωで起動するセットもあり、100〜200Ωでは案の定、不動作だったので、取り敢えず 6.7Ω3/8W(=20Ω1/8W 3本並列)〜47Ω1/2Wを採用した(写真1〜3)。 小出力時にはRY2接点が導通してなくても動作してしまう。 疑似負荷(写真5とモニター・スピーカー)を繋いだ大出力での動作確認が必要である。

またも半田付け不良!
 製造工程の問題未解決
 @NAS-250C(旧型)  <1.4>

 起動抵抗劣化断線(前項)では、リモート・スイッチ投入で起動リレーRY3は動いて電源PLは点灯したのだが、片チャンネルだけ全く不動作のNAS-250アンプに遭遇。 主原因は部品のイモ・ハンダで経年で不導通・不動作になったもの。 取り敢えずは不導通部をジャンパー線で直結して動作させることとした。 電源リモート制御線であるD10のカソード側と、CN3の中央の線をリード線で繋いでハンダ上げして復旧させた(写真4)。 DIN10Pコネクターの不安定な接触不良もあり、1アンプはFUSEを抜いて殺し残る1アンプ125W出力での運行も考える。 出力コネクターは前後2つずつあり、パワーアンプは車の後部荷物室設置で表には出ないから支障なく1アンプが生きていれば使える。 NB-101時代の工程欠陥が後継機種NAS-250Cでは、まだ治ってなかったようだ。 この工程技術水準では家電製品は作れない。

 NT-101/NB-101現役当時の拡声器アンプは、半田付け忘れやイモ・ハンダ、主コンデンサーの容量抜け頻発で、選挙特需時の生産工程能力としてはかなり問題があった。 当時の製品内部を見ると、熟練技術を要する大出力大電流部分の半田付けはしっかりと行われているのに、比較的簡単な作業の表示灯や前段小信号部にイモハンダが有って後日導通不良になったり、ハンダ上げそのものをしてなかったりというトラブルが頻発して居て、選挙特需で採用の未熟練臨時工に簡単な工程を担当させたであろう事情が垣間見えていたのたが、 機材の選挙本番購入で走ってしまうと不具合修理の期間が全く無く、何らかの代替品で凌いで、投票日以降は放置で終わるなどしてユーザークレームとしては深刻化しなかった様だ。 基板への半田付け漏れのNB-101アンプなど、それに気付いたのは購入から8年後!で、修理・交換されないまま死蔵されていた。選挙の戦場状態ではまともに動かなくて良品交換で降ろした拡声器など、そのまま放置となった様だ。
 家電関係では半田付けは製品の信頼性に特に重要作業なので、特別訓練と作業資格認定制度を作って合格証のピンバッチ着用を義務付けたりして徹底、下請けにもその基準を徹底訓練したもので、ハンダ不良を出そうものなら発生ベルト丸ごとを止めて、作業講師を派遣して半日以上の実習訓練を科していたし、ISO-9001実施で作業者が個人特定されるようになると不良頻発者は作業から外したものである。
(See→c.f..故障修理一覧@整備マニュアルp20別紙X)、
(See→c.f..宣伝カー用拡声器運行結果について
今整備しているNAS-250C車載拡声器アンプなどにそういう厳しさが感じられないのは非常に残念だ。 但し、回路組立を外注化していると、他社製品組立時に教育訓練を受けている下請け外注が生き残るから、自社生産より工程品質が良くなることは充分にあり得る。 NB-101、NAS-250Cでのイモハンダ事故発生は、そういう論議になるほど基本的な酷いトラブルだ。

 動作を辿ると、電源ONすれば、起動リレーRY3を動かす電位はD10の先、CN3基板3Pコネクターの中心ピンに出ているはず。CN3コネクターを外し、電源を供給してこの電圧を調べる(TP3)とゼロだ!電源13.2Vは主プリント基板に供給されている(TP0)。 基板の部品表示を辿ってD10を発見。このカソード側がCN3コネクター中心ピンに繋がって、リモート・スイッチで接地されるとONになる筈だから、CN3を外してみて、D10カソード側の電位(TP4)が+かどうかを見て、+ならそこをテスターリードで接地してみて、リレーRY3が動作しなければ、その駆動トランシスタ系かRY3自体の不具合、RY3が動作すれば設定スイッチまでの結線・配線の不良(TP3)という訳だ。 D10のカソード側をテスター・リードで接地するとカチッと音がしてRY3が動く。そこだっ! CN3コネクターを外してその中心ピンとD10カソ−ド側線との導通(TP3−4)を当たると不導通=配線不良である。
 主プリント基板を外すのは大変だから、細い絶縁ジャンパー線(写真4左右)で繋ぐことにしたが、 D10のカソード側リードに(写真4左)半田鏝を当てるとリレーRY3がカチャカチャ動いたので、そこがイモハンダ絶縁箇所の模様。これが全く不感・不動作の原因だった。

リレー接点不導通にも要注意  <1.5>

 いささか「障害物競走」的に次々トラブルに追われたが、起動抵抗R44'を付加してパワーリレーRY2がONになるようにして音は出るようになったのだが、どうも変。 出力段の電源電圧(TP2)が5Vしかなくて起動できなかったのが、R44’付加で9Vに上がって音は出るが、なにか変! そこで疑似負荷8Ω75Wを繋いでの重負荷試験では全く駄目だ! (100W前後もの音声出力試験を実際のスピーカーで行っては大騒音となって不可能。 疑似負荷として作成した大容量の8Ω抵抗(写真5/図4)を使うがモニターとして減衰−24dB(出力1/160)端子は出している。それでもやや五月蠅く−34dB(出力1/1600)減衰も必要)
 電源電圧13.2V(TP0)なのに、RY2の接点で直結されてるはずの(TP2)電位が9V余ではRY2接点が導通していない! Tr.13のベース(TP5)を接地するとリレーRY2が切れる音がするから、間違いなくRY2接点不導通だが、アンプ内の2個ともやられているのは極々珍しい。 しかしそこ(RY2接点)をリード線で繋ぎ足すとパワーアンプとして動作するから、自動車用リレーを外付けしてTP1'、TP2から制御を採ったトランシスタ−駆動で代替すれば生き返るが、プリント基板外で可能かどうか。 また音声ミューティング・リレーが時折切り替わらない基板有り。 こっちは基板への介入ができず外付け改造は無理で、修理断念。 ともに、取り敢えず保留。See→「追加・補足」代替基板作成

スピーカーのメタルコンセント接続統一(接続の標準化)  <1.6>

 スピーカー接続の両側を2Pメタルコンセントで行い、予備コンセントまで備えているUNIPEX NB-1502/NAS-250C以降の方式は、半田付け配線方式に比べて機材の使い回しが大変楽になるので、旧機種もこれに合わせてメタル・コネクター接続にしたい。アンプ、スピーカー、ケーブルを独立に使い回せてトラブル対処と、設営・配給が大変楽になる。
 UNIPEX旧機種は出力端子がネジ止めであるが、複数接続は面倒で、差し替えるだけで良いメタル・コンセントの手軽さには到底敵わない。のぼる電気製は、電源とスピーカー配線が一体のメタルコンセントにアンプが繋がれるから、アンプ交換だけは簡単だが、スピーカー関係の自由度はない。最低限、スピーカー出力はコンセント接続としたい

 市長選挙本番中に突然片方のスピーカーから音が出ない不具合が発生で千葉から60kmの三多摩某市へ呼び出された。 2アンプのNB-1502だから、手順としては、スピーカー前後の接続を交換してみて、音の出ないスピーカーが変わればパワーアンプ廻りの不具合、変わらなければ配線とスピーカー廻りの不具合と切り分けられる。 移動中にその確認を頼むと、交換しても変わらなかったというので、スペアのスピーカーケーブル(LS-310@UNIPEX)を持って宣伝カーを追って、アンプとスピーカー間をスペアのケーブルで直接繋いで旧配線を車体に残したまま復旧させた。 選挙終了後にトラブル箇所を確認すると、搭載看板兼スピーカブロックと車体側の配線を繋ぐ「ギボシ端子接続」が看板裏(車外)に設けられていて、ここの雨水や大気汚染などの腐食による接触不良が原因だった。 ケーブル両端のスピーカーとアンプがコンセント接続であれば、発見の難しい見えないところでの配線接続は不要で安定する。 以降、旧UNIPEXアンプには何台分かスピーカー接続用のメタルコンセントを付加し、リード線による直接接続だった電源に接続端子板を設けた。 のぼる電気製アンプも最低限スピーカー接続をメタルコンセント化しての利用は必須である。

旧旧機種は接触不良多発  <1.7>

 旧旧機種としてのぼる電気100W機2種13台、そのコントロールアンプ3種7台を見たが、トラブル原因は圧倒的にケーブルの経年硬化による偏倚ストレスで接触不良。出力トランシスターの内部短絡1。そしてガリオーム!で、イモ半田は4年前と8年前に発見修理済み。 コネクターのロックバネを押さずに力尽くで引き抜いたり挿したりして壊れているコネクターもあり、縦続接続用の代替部を使って結線している。 経年硬化した太いビニールケーブルにコネクターが引っ張られて接触不良を起こすので、コネクター部以外のビニールケーブル部を金属桶に沸き返る熱湯で5分ほど煮て柔軟性を回復させて、接続部には「接点復活材」をスプレーして応急処置して使えるようにした。 車上搭載時に柔らかければ、正常接触のママ再硬化して動作できるので、宣伝カーに組み上げる直前にケーブルを煮て柔軟性を回復させれば良い。接続後にケーブルが硬化しても曲がったまま硬化なので差し支えない。 ケーブル煮沸柔軟化は8年前から繰り返しているが、繰り返しの度に柔軟効果は減っているように感じる。
 VRも摺動面めがけてVRケースの小穴から少量吹き掛けて回すとガリガリ音が消える。
接点復活剤は暫く経つと多くのプラスティックに浸食してボロボロにしてしまう「破壊的劇薬」なので、使いたくないのだが、背に腹は代えられず、余分な液を拭き取りながら怖々と使っているもの。 テレビなど家電外箱のABS樹脂など半年から1年でボロボロになった。 そのうち致命的トラブルになるのは承知であるが、25年〜35年ほど前の製品だから「寿命」と割り切って貰う。 引いてみれば、既に亡者となっているのをゾンビとして動かしている様なものなのだから。

搭載前の動作試験が重要  <1.8>

 車載拡声器の動作試験は、宣伝カー搭載前に、澄んだきれいな音が出せることの確認と、大出力域での動作確認が必須。 一本20kg〜30kgもある鋳造ホーン・スピーカーを宣伝カーの屋根に積み卸しして調整するのでは堪らないからだ。 仮に125W出力で効率が70%の場合、電源電圧が直流12Vとしてパワーアンプ消費電流 I は、約15A(I=P/Vη=125/(12×0.7)≒14.88A、両チャンネルで30A、定格表示41A)が必要で、電圧降下無く供給できるのかどうかの確認が必要。 しかし実際に大音量は出せないので、大容量の抵抗器を模擬負荷として発熱させ、ごく一部をモニターして(写真5/図4)動作確認している。 この試験で主電源コンデンサー容量抜け不良など、電源不良は異常音発生として確実に捕らえられる。
 家電AUDIOではアンプの直流電源電圧を自由に採れるので48V(〜72V)供給とすれば最大電流は4A(〜2.5A)で済むのに対して、車載用は12Vに固定されて15A(〜30A)もの異世界の大電流で、電圧降下に特に配慮する必要がある。

 小音量での試験は、拡声器アンプの小音量域で発生する不快な歪みを回避したいために行うもので、講義や演説よりも音楽、それも澄んだ音の楽曲が分かりやすい。 シンギング・ヴァイオリンのマントバーニーとか、由紀さおり、倍賞千恵子、岩崎宏美などを音源として音質を調べていて、酷いものは避けたり、可能なら回路と定数を調整する。

 某議員から「住宅街で静かに訴えたいが、そうすると音がカサついて聞くに堪えない。拡声器を見て欲しい」と言われて動作を調べると、(NB-101の)出力トランシスタのばらつきで音声信号のゼロ・クロス部に不感部を生じていることが分かった。 [図2]NB-101回路図で、終段Tr.バイアス電圧の定電圧ダイオードに直列に挿入しているダイオードは、そのゼロクロス部の不感域を無くすために挿入したシリコンダイオードであり、バイアス電圧を0.65V前後増やして解決している。
 最大出力時は歪み率定格を満たすので、アンプとしての公称規格数値的には問題なく、右翼街宣車の様にフルパワー運行ばかりなら気付かないのだが、実用の場面での要求条件=小音量運用で障害になるのは問題なのだ。 出力トランシスタ-のVBEを調べて、特に高かったアンプ数台の無信号時電流を調べて、正常動作機と同じ程度に増やす回路改造を行って動作バイアスを増やして問題を解消させた。

雑感  <2>

 拡声器アンプ NAS-250Cは、部品実装がギリギリで、相互に当たり合って分解困難で、主のプリント基板も抵抗などを立てて非常に密集して配置していて、視力低下の著しい我が目ではプリント基板の回路を辿れなかったので、4年前から起動不良故障3台の修理を一旦、諦めていたものだった。 旧機種のNT-101/NB-101では分解できたし、まだ視力もあったのでプリント基板を辿って回路図を描いている(NT-101/NB-101回路図1999/02/27付[図2])。 バラ部品を主に使ったセットで分解修理困難な密な構造というのはやや行き過ぎだろう。
 ところが、正常動作として倉庫にしまっていた拡声器アンプの宣伝カー設営前の動作確認では、直前には正常に音が出ていたものが突然再起動できなくなる事態に遭遇。それでは機材の絶対数が不足する。
 NAS-250Cアンプとは、ほとんど同構造のNB-1502回路[図1]を眺めながら動作電圧を当たると、入力のミューティング短絡RY1だけではなく、パワーリレーRY2が動かず主回路が投入できてなかったり、起動リレーRY3そのものが動かないことが分かった。 さらにRY2が動いているのに、その接点が導通せずパワーをまともに出せないものが2個出てきた。
 これを起動させる応急策を探したものであるが、現象から、起動抵抗と阻止ダイオード回路の劣化断線と、イモハンダなど配線不良が最も可能性のある原因と思い、ジャンパー線で外部端子に代替素子を繋げれば、プリント基板内に立ち入らずに応急修理可能であると気付いた。
 一端は出力トランシスターを配線するプリント基板のコレクター・パターン(TP2)で、広い面積があり直接に半田付けできる。 もう一端は、パイロットランプ群基板の共通電位側端子(TP1)である。 電源制御線のイモハンダ(TP4)は他に接続する素子がなかったのでジャンパー線(TP3)のみで対応。  幸いアンプは両方とも起動に成功したが、イモハンダ機は、その時素が非常に長いので、前項に従い調整する。
幸い起動に成功! こうなるともうゾンビを働かせている感(w。 法定得票数を得られれば公費で拡声器の買える選挙を上手く活用して定期順次交換で地方選挙に「借用」し使い回していく必要ありだろう。

 フィールドでの思わぬ致命的トラブル続発で工夫された機構と推察するが、設計だけでなく工程能力を含めて、その初期不具合の収まる前にデジタル・アンプへ切換でNB-1502D/NB-3002D(75W×2/150W×2)になり、アナログ品の製品寿命が尽きてしまった。 デジタル・アンプNB-1502Dはリースバックの中古品2台を4年前から使っているが、それは今のところ好調である。 アナログ時代よりも工程改善されたのだろうか? 高価な物なのに、数回の選挙期間しか使ってないのに故障して動かない、販売打ち切りから7年を過ぎて修理もできない、ではユーザーは納得いかないだろう。 統一地方選挙の使用では3回8年間余を稼働しても延べでの実稼働は最長で1ヶ月そこそこなのだから。

参照→
   目次

2018/12/16 18:00
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追加:補足  <3>

代替起動回路基板
[図5] 代替起動回路基板@NAS-250C/UNIPEX
 主リレー接点RY2の接触不良の交換が困難で、代替回路を付加する場合の回路図・結線図を[図5]に示す。 この蛇の目基板に外付き起動抵抗回路R44+D9を収容する。
TP1は[写真6]に示すLED共通パターンが相当し一端に直接半田付けする。
TP2は出力トランシスターのコレクターの共通パターン2個にそれぞれ半田アイランドを設けて太線を直接半田付けして主リレー接点に繋ぐ。 他は主基板に端子が出ておりY端子でネジ止めできる(CN12:接地、CN14:代替主リレー接点)。代替リレー基板は直流動作なので、セットの空き領域の何処にでも接地できるので配線は長めで良い。

 パワーアンプNAS-250Cは無信号電流が1A前後とかなり大きく、アンプ電源を切らずに車のイグニッションキーを切ってしまうと翌朝にはバッテリ−上がりで起動できなくなる。 NB-1502も同様の回路方式なので、両方ともイグニッションキー連動リレーを介しての設営が望ましいのだが、取り敢えずは「スイッチ断」を徹底して貰う必要がある。 NB-101/NT-101では定電圧ダイオードZD1にブースト回路があって無信号電流は50mA前後で済んでいた(図2のZD1、図1のZD1周辺を比較参照)。 ゼロクロス部不感のアンプでは15mA前後だったので〜≒50mA化改造をして小出力時の音質改善を図っている。

 補修部品購入に久しぶりに秋葉原電気街を歩いたが、多くがフィギャー・ヲタク店に替わっていて、当てにしていた半導体・トランシスタ−店が皆閉店していて欲しい部品が店頭に出ていない。 そんなに酷いとは!もう通信販売に頼るしかないようだが、古い製品など現物合わせしかできない部材は困ってしまう。
2SC3241Y
[写真7] レーザー刻印の2SC3421Y、読めない!
Digital Tester
Digital Tester
[写真8] 刻印に橙色クレパスを塗り込み「見える化」
2SC3241Y
[写真9] 刻印だけではレンジが見えない:右デジタル・テスター
車載拡声器アンプ調整作業にテスターと鏝を買い換え
∵経年劣化不安定と発熱セラミック断線不良
 ラジオ会館ビルは建て直し後、丸ごとが電子部品関係ではなくなったし、総武線ガード南側のラジオセンターも全滅、総武線ガード下も常用の半導体店がヲタク店に転換、通りの西のラジオデパートも所々がヲタク店化、単価@10〜@15だった抵抗器が@50〜@90の値札が付いていてビックリしたが、良く見ると、カラーコードが一本多い5本の1%以上の高精度抵抗が陳列されており、5%誤差の安い製品は店の奥に品揃えを大幅に減らして陳列していた。 4年前は減ったとは言ってもまだまだ残っていたから、今回は様変わりといって良い状態だった。

 IC関係の店に中電力用Tr.が数種並んでいるのを発見!主リレーRY2駆動200mA前後用だからVcbo≧30V、Imax≧0.5Aは必要条件でhFE≧50程度と考えて(∵原回路の電流配分から)、安価だった2SC3421Yを入手、テスターでhFEを簡易測定すると148〜159程度で、許容損失1.5W単体/10W放熱、1A、200Vmaxだからリレー駆動の低速スイッチング動作としては充分飽和領域で使用可能。もう最適製品を選べる状況にはない。

遠視、弱視でも見やすい表示必要  <3.2>

 なお2SC3421は「レーザー焼き付け表示」とかで、視力が落ちた目にはルーペを使ってもほとんど読み取れない。 新製時はインサーターで組み上げるから見えなくて差し支えないにしても、バラ部品の回路のメンテは肉眼で見えないと困ってしまう。 光の向きを変えて運良く撮影できたのが[写真7]であるが、中央の表示はギリギリ読めるが両側は読みにくい。 多くは撮影しても文字が読めないし、プリント画面では尚更読めないのだ。
 視力低下で肉眼では見えなくなって接写多用で判断するようになって、絵が残ってサイトの記事は書きやすくなったが、やはり見えないのは辛い。 左写真は過剰ハンダの技倆不足がトラブル発生原因だったが、過度の高密度化も避けて欲しいもの。 4年前から「視力低下で、もうメンテは無理!」と訴えていたのだが、今回も20部品未満の蛇の目基板組立が半日仕事という惨状で、視力が普通なら本来1時間以下の作業。

 経年劣化の不安定が出て、ゼロ点に気になるヒステリシスが現れて計測値に信頼が置けなくなったので買い換えたテスター(写真8〜9)に注記が刻印されていたが、視力が落ちてこれもまともに読めない。
ハンダ過剰短絡
樹枝状結晶成長で電源短絡
彫刻・刻印だけの石碑・墓石を読めなくなったのと全く同様の視力低下である。 橙色のクレパスを塗り込んでナントカ読めるようにした。 写真9の右側:デジタルテスターでは測定レンジ・ツマミが見えないが、写真8右側の様に矢印部にクレパスを塗り込めば見やすくなる。 家電などや、そのリモコンも同様だが、刻印だけの表示では読めず、文字部が凸では塗色が難しく、クレパスを塗り込める溝式の方が加工しやすいが、メーカー側も製品段階で目立つ色を塗っておいて欲しいもの。 製造工程での読み取りミス軽減のためにも分かりやすい表示は必須なのだが・・・・・・・・。

2018/12/26 18:00

バッテリー容量不足か!トラブル真因  <4>

自動車用リレー
[写真10] 自動車用リレー
不良交換を想定してソケット付き
焼損起動抵抗
[写真11]焼損の外付起動抵抗
   主リレー接点不導通で!
 今回2018年末に修理・整備したトラブルは、個々には
(1).主電源リレー接点導通不良(3:250W機2、150W機1)
(2).起動抵抗焼損不良(7:250W機6、150W機1)
(3).イモ半田、接続不良(1:250W機1)
(4).ミューティング・リレー動作不安定(1:250W機1)
であるが、事務所保存のUNIPEX機4台8アンプで正常動作は1アンプだけという惨状で、不具合11箇所中7箇所が起動抵抗絡み、主リレー接点導通不良3となっており、(3).は製造責任でありユーザー側は如何ともしがたいが、(1).(2).は環境依存で、使い方にも問題がありそうだ。(4).は放置∵セットを叩きながらの運航は出来ない。 (良品は候補者が自分たちの日常の宣伝カーとして確保している。 不良発生で事務所保管の良品と交換するので事務所には不良品が集まる。 一斉選挙ではない日常なら各市1台もあれば足りている。 政党・団体カーが必要になる4年ごとの統一地方選挙で機材不足になり、金満政党はレンタルの宣伝カー、貧民政党・団体は自前のポンコツアンプの再生・借用を試みる)
 第一の原因は、大音量運行中にバッテリー不足で電圧が下がり起動リレーが落ちてしまって、起動抵抗を短絡しなくなり、過大電力で焼けてしまう。リレー接点も繰り返しの直流大電流入切で接点を摩耗させて非導通。ということで起動不良が多発していると思われる。
 すなわち、充電量が足らない(=過消費電流)、バッテリー容量不足(=運行中にバッテリー上がり)が基本原因で、異常な電圧降下で落ちる起動回路を採用したUNIPEX機(NB-1502/NAS-250C等)でトラブルになるのだろう。
 回避策としては、まず宣伝カー運行者に「落ちない音量で運行する。落ちたら音量を下げる。充電量の確保にギヤは自動変速のDドライブを避け、Low低速で運航する」ことをマニュアルなどで徹底して運航側で故障化を防ぐことが必要。
 宣伝カーの設営側としては、バッテリー容量を増やす=補助バッテリーの追加、大容量バッテリーへ換装、関東以西では寒冷地仕様車を利用、などが適切である。
 さらに大出力大容量では補助発電機(オルターネータ)と拡声器用のバッテリーを使うことになるが、負荷に応じての充放電制御に問題が起こり、多くの場合「過充電」に陥り非常に短命になる。この場合、拡声器動作にオルターネータを連動させ、運行バッテリーと並列とする必要がある。(∵充電管理は車が行う。)

 故障状況を添付の付箋などから辿ると、
 当初、「マイク断線」とされていたのは、実は電源電圧の降下による主リレー落下で、本件の通り。マイクロフォンは音の切れの良い優れもので全くの濡れ衣だった(See→日記#4§2.4)。さらに片チャンネルの主リレー接点不良による起動不能に陥っていたのがNB-1502。(75W×2=150W機)
 両チャンネルが動作試験中に起動しなくなったNAS-250Cの、回路基板がNB-1502と共通であり、出力倍増に補助基板を足していることに気付いて、その回路図(図1)から、起動抵抗回路を2組、主基板2枚に外付け追加して復旧したのが4年前の前回は現役だったもの(125W×2=250W機)。
 この1台の修理成功から、4年前は全くの起動不良で廃棄予定で放置していたNAS-250C型2台の修理を試みて、1台は、まず起動制御線のイモ半田不良で、ジャンパー線で繋いで制御を回復、さらに2チャンネルとも起動抵抗不良で、代替起動抵抗回路を基板に外付けして回復させたのだが、時折、起動時のミューティングリレーが片側チャンネル動作しなくなり、筐体を叩くと復旧するなど不安定があって、外からの介入が不可能なので、片側125W機として使うべき状態。
 もう一台は起動抵抗焼損に加えて、主リレー接点が2つとも不導通となっていた。
 さらに棚奥から出てきた150W機NB-1502も片チャンネルの主リレーが不導通&起動抵抗不良で動かない。
 主リレー接点不良だった3アンプは自動車用リレーと、その制御基板を作成し、主基板外に外付けして代替させ復旧させた。
ハンダ島作成
[写真12]増力用拡張基板
  @NAS-250C
外付き起動抵抗
[写真13] 制御基板取付
   @NAS-250C主接点×2不導通
Tr.足にハンダ付
[写真14]Tr.足に直接ハンダ付
   @NB-1502(基板非拡張)
外付き起動抵抗
[写真15] 外付起動抵抗で復旧
制御基板@NB-1502
[写真16]制御基板実装
Tr.足にハンダ付
[写真17]Tr.足に直接ハンダ付
   @NAS-250C
   (試験中に起動不能化機)
   @NB-1502(基板非拡張∴足に直接ハンダ要す)
   PP出力トランスの両側Tr.コレクタそれぞれから取り出し


 自動車用リレーはソケット込みで売られていて、不良リレーは差し替えれば良いようになっている(写真10)。 前照灯など直流大電流の入切は元々故障しやすいから妥当な構造なのだが、もっと重負荷の拡声器アンプでプリント基板固定というのが問題だろう。 自動車用リレーの主たる用途である前照灯60W×2で平均10A、投入ピーク30A負荷に対して、NAS-250C定格電流は41Aとなっているから1チャンネル20.5Aで、前照灯の2倍を扱っていて、電圧不足の落ち掛かりでは最大電流下でバタバタと暴れて激しいスパークで接点を壊してしまう。そして主電流総てが流れる起動抵抗が焼損する。ここが起動不良多発の真の原因だろう。

要注意作業!「TP2」

 出力トランシスターのコレクター配線に大電流のバイパス線を直接半田付けするTP2は、力が掛かってプリント基板のパターンを破損したり、トランシスターの足に無理な力が掛かって接続が外れるなどの重大リスクが有るポイント。 事前に半田メッキを双方に施し、太い配線も予め成形しておいて半田付け後に曲げなくて良いように準備が必要。 NAC-250C修理では増力拡張部の基板パターンに半田付けする(写真12)のだが、配線から無理な力が掛かったようで、プリント配線銅箔が剥がれて繋ぐのに苦労した。 NB-1502はパターンの露出部がないので、左右のコレクターのピン2本に直接半田付けしたが、表側の半田が外れないよう特に注意して半田付けした。([写真14、17])
 付加した制御基板は長ネジとナット止めして、スプリングワッシャーを噛まして緩み止めしたが(写真13、16)、アンプ筐体の鉄板に直接穴開けするので、その切り屑が筐体内に残らないよう拭き取りながら作業する。 空きスペースの少ないNB-1502では、アンプのゴム足と筐体接地端子を移設して後ろ側アンプ用の自動車用リレーの取付スペースを確保した。たまたまOMRON製が入手出来たので、メンテ・不良交換は容易いだろう。
 既にメーカー修理対応外機種だから、ダメ元ではあり、死者ゾンビを無理矢理働かせる趣ではあるが、失敗すれば無駄支出に転化して批判対象になりかねず、特に慎重な作業が求められる。 今回の作業で既に\35kほどを支出していて、そのうちどれほどの額が無駄になるのかという話になる。

振り返れば

 宣伝カー運用メンテ経験を振り返れば、まず起動回路など無かった時代の機種はコンデンサーの極端な劣化が目立つが、電圧低下は全く無問題。 UNIPEX製NT101/NB-101やのぼる電気製100W機の時代で、出力トランシスターのコレクター・エミッター短絡1機(のぼる電気)は電源供給の接触不良でもあったのかも知れない。
 100W以下出力機では、小型普通乗用車(5ナンバー)をそのまま用いて、バッテリー(40〜55[A時])の増強はしていない。(安定運行には運行前の(夜間)充電作業や、バッテリーの保温作業か、補助バッテリーが必要なのだろう)。
 NB-101(100W)×4基のボックスカー宣伝カーでは、業者施工でバッテリーを大型の190[A時]に換装していた。 NA-250C(250W)×2基(4アンプ)の宣伝カーでも同様190[A時]バッテリーに換装で、これは12kmのデモ行進中に5kmを過ぎる当たりから時折、エンジン停止を起こして停止。 充電不足と見受けられたので、ローギア運行でエンジン回転数を上げて充電量を増やして貰って切り抜けることが出来た。時期は猛暑7月の平和行進。 このとき幸いにもアンプNAC-250C×2基(4アンプ)は落ちなかった。
 それが、新型のNB-1502を5ナンバー車で使うようになって、起動不良が散見されるようになり、厳寒2〜3月の地方選挙3回目8年でメーカー修理期間を過ぎて放置され、廃棄処分されるようになったが、旧機種NB-101/NT(C)-101の自家修理(図2)で足りていたので、回路図を取り寄せて製図した程度(図1)で放置していた。 それが拡声器3組も不足では緊急修理せざるを得なくなって、この記事の顛末となった。

 三多摩での宣伝カー運行は支持者たちの肉声中心で、テープとは違い「間」が多くてその分が軽負荷で、各議員の60W機〜100W機での運行だったが、千葉では250W機のNAC-250Cを使ったテープ中心の流しで、良くバッテリー上がりを起こしては居た。 厳寒1〜3月の運行というのがバッテリーにとっては極めて過酷な条件だ。 この負荷の大きさがバッテリー上がり多発の一つの基本原因=起動抵抗焼損&主リレー接点不良多発原因ではないだろうか。 良品交換されて故障不良品が事務所に集中するとは言え、4台8アンプ中7アンプが起動回路故障というのは偶発故障ではない。明確な理由のある故障と考えるべきだ。
 さらに、12V車に、拡声器専用の24Vオルターネータとバッテリーを積んで、走行中常時充電のため、回送時にも充電して過充電に陥りバッテリー損壊するものもあった。See→日記#5:短命バッテリー
これは拡声アンプメーカーが自動車電源と同一電圧が設置の前提であること、すなわち自動車本体に充放電制御をさせる前提であることを、明文では示さず、車とは独立の専用バッテリーの使用のみしか記載していないため生じた齟齬だろう。
 宣伝カーの専任オペレータではない、ボランティア運転士に、充電管理の必要な宣伝カーシステムを預けたらトラブル続出だし、常時充電では過充電・過放電故障頻発も当然だった。
 せめて「専用発電機による充電のアンプ連動」、「アンプのイグニッションキー連動」、「操作マニュアル・カード」は必須なのだろう。完全に業者任せの某地区では総てがイグニッションキー連動だとか。
 NAC-250Cの無信号電流は1A余あり、NB-1502でもほぼ同様で、イグニッションキー非連動でアンプの電源スイッチを切り忘れると、共用している車のバッテリが落ちてしまい、バッテリー上がりで起動できなくなるのは良く経験していた。 旧機種NT-101シリーズでは終段出力部のバイアス電源として定電圧ダイオードからトランシスターを介して標準電圧を供給していて(図2)、無信号電流を50mA×2=0.1A程度にしていても、長期の駐車でバッテリー上がりとなっていたものだったが、 NB-1502/NAS-250Cの1A前後ではその1/10の時間でバッテリー上がりでエンジンが掛からなくなる訳で、定電圧供給のトランシスターを廃して直接化した「回路改良」(図1)は若干コストは下げたがユーザーの使用状況を考えない不親切な措置であった。 イグニッションキー連動リレーと制御端子、有効−無効の切り替えスイッチは備えるべきではないか。 基板組込用の小型リレーなら市販で100円前後だが、主電流を遮断するために外付けする自動車用リレーでは\1,700.前後で、同じキー連動機能を実現させるコストが大違いなのだから。

2018/12/31 24:00
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