車載拡声器用パワーアンプ
1999年3月10日
調布狛江府中地区委員会 担当支部 水島 哲生
序
ほぼ4〜16年間放置されていた車載拡声器用パワーアンプなど15台の点検整備を行ったが、そのほとんどに何等かの障害が有って、これを総て修理した.(回路図は[別紙T]〜[
別紙V]参照)
障害箇所は[
別紙X]の通りであり、ハンダ付けができて一定の知識・技術が有れば(高度の知識がなくても)結線図などの資料をみて対応可能なので、「パワーアンプメンテナンス手順」として文書化しておく.
目次
[ 説明図一覧 ]
[ 別紙一覧 ]AMPF1.JTD/ampf1.htm
【AMPF2.JTD/ampf2.htm】
[1]使用機材・機器
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電源 自動車用バッテリー,又は同充電器+電解コンデンサー25WV2200μF〜6800μF
テスター(300[μA]以上の感度),1,3,10[A]電流計
ダミー負荷抵抗(100[W]8[Ω]〜4[Ω]=28.3[V]3.54[A]〜20[V]5[A])
スピーカー
摺動接点復活剤スプレー
ドライバー(M5,M4,M3,M2用+−)
レンチ(ボリューム軸止めネジ用.モンキー可)
ハンダ鏝(100W,30W,15W)&こて台
ハンダ
ニッパー、ペンチ
ウェス(ボロ切れ)、雑巾
筆、ブラシ、電気掃除機
試験用マイクロフォン
音楽ソース(ウォークマンなど)と接続ケーブル、ジャック−Pinジャック変換プラグ
(用意できれば、オシロスコープと低周波オシレータ………スイッチングノイズが一目瞭然)
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[2]補修部品(UNI-PEX NT-101,-60,-40シリーズ,NTC-60の場合を例に)
摺動接点復活剤スプレー (\700〜\1,200.)
電解コンデンサー (経時変化、過負荷劣化の交換)
2200μF〜6800μF25WV高リップル型 (@\210〜\600)
470μF〜1000μF25[WV=作動電圧]
100μF16WV
10μF16WV
小リーク品←(選別可.……耐リーク設計に問題.元々ケミコンは漏れる!)
マイラコンデンサー (@\30〜\50)
.047μF
セラミックコンデンサー (@\15〜\50 高周波寄生発振対策)
100PF〜330PF
シリコンダイオード=電源整流用 (バイアス調整、コイルのサージ吸収)
1[A]〜2[A]逆耐電圧100[V]〜400[V] (@\10〜\40)
抵抗器 (@\10〜\30)
100[Ω]〜130[Ω]1/32〜1/4[W]×2 終段B-E間
3.3[kΩ] プリ・アンプ部デカップリング(超低周波発振対策)
10[kΩ] 同上
配線材料
ビニール被覆線 (赤、黒、青、白、黄 10芯程度)
シールド・ワイア(1芯&2芯)
Imax=P/V/η=200/13.2/0.65=
23.3[A]に耐え電圧降下の少ない電線(赤、黒)
圧着端子とビニールテープ
取付けネジ M5 ビス、ワッシャー、スプリングワッシャー
アングル等、取付金具
M4,M3 ビス、ワッシャー (アンプのケース留めネジ)
フューズ&フューズホルダー (短絡事故に対するバッテリーと配線の保護)
00[W]=30[A], 100[W]=20[A], 40[W]=10[A]
ワニ口クリップなど接続部品 ×6
[3]試験接続図 [図−1]
供給電源の+−極性と、電源スイッチのOFF、VR最小位置に特に注意
電源の極性が逆の場合、NT-40型、NDC-602シリーズでは回路部に直接逆電圧が加わるので、短絡、破損の危険があるので特に注意.(パワーリレー内蔵の機種は間違えても電圧が加わらず安全)
音に歪みがある場合、まず、
電源コンデンサーの容量抜け劣化不良を疑い、取りあえずこれを追加してみる.+−の極性に注意.(抵抗断線など、他の故障は多くない)
[図−1] 動作試験 接続図
[4]動作試験方法
1). 音量調整ツマミ全3個を左一杯(ゼロ位置)に回し、音質調整を右いっぱいに回す.
2).電源スイッチON パイロット・ランプ確認→フューズ確認→メーターの振れ方確認
3).音声テスト (超低周波発振テスト)
「ボコボコボコボコ……」→超低周波発振! 改造必要→[
別紙V]に改造回路図
どの入力端から入力しても全く音が出ない場合には、メインアンプ部に直接入力して確認.
4).音質調整をゆっくりと左いっぱいに回し、スピーチモードにする.(高周波発振障害テスト)
スピーチモード寸前で、急に雑音が増えて、「バリッ」と音がして一瞬電流計が振り切れる!注意深く回すと、ピューー、ギャーー、シャーー等の音が聞こえることがある.これは高周波寄生発振が起こっている.(基板の接地極と金属ケース間にセラミック・コンデンサーを付加しているのは、メーカーとしての発振・誘導対策だが、これに収まらないセットがある.)
セット毎の対策が必要である. →[
別紙T−a]Cc=100〜330[PF]付加
5).VR接触不良テスト
VRを繰り返して回す.バリバリ、ガリガリ音が消えない!か?→(復活剤塗布が無効ならVRを交換する.音質調整VRでは、超高域発振の場合に似通った症状が現れるので、その判別に注意.発振の場合、スピーチモードの直前に集中して起こり、ゆっくり回すと区別しやすい)
6).ジャック接触不良テスト
VRを一旦ゼロにしてマイクを接続.適切な音量時にマイクのプラグを回し、動かす.
バリバリ、ガリガリ音が消えない!か?
→(接触部清拭、及び復活剤塗布処理)
7). 異常が認められた場合には、ここでアンプのカバーを外して(次節)、必要な処理を始める.
8). 音楽 大電力テスト. 気になる歪みはないか? (故障:抵抗断など)
9). 音楽 小電力テスト1. 気になる歪みはないか? →バイアス調整T
チェック・ポイント 無信号時のVBE.
TP10,TP11電圧=1.1[V]ではほぼ正常動作、1.0[V]では歪みが大きい様である.
大音量にしても、かさついた硬い感じの音に感じる. (対策は次節)
10). 音楽 小電力テスト2. 気になる音質の濁りはないか?バイアス調整U
濁って、かさついた硬い音に感じる. (対策は次節)
11). スピーチ・モード回路電解コンデンサーのリーク不良の確認
スピーチ・モードから通常モードに切り替えた場合に、激しく「バチッ」と音がする場合は、当該電解コンデンサーの劣化を疑う.(回路設計からみて、若干の音は出る筈で、衝撃音はゼロにはならない)
[5]整備、修理、改造作業
分解方法(NT−シリーズ) (組立は分解の逆順だが、仮留め後、少しずつ均等に締めて、歪みが一部に偏らない様注意しながら組み立てる.一度に全部締めると組み立てられなくなることがある.)
1). 部品置きの白紙(白箱)を準備して
[アンプの分解] [図−2]パワー・アンプ組立図参照
[図−2] パワー・アンプ組立図
2).アンプケースの取り外し
側面下側、M4ビス×(2〜3本)×左右2 を抜く
上面、M3ビス×3本×前後2 を抜く
側面の前面側、M3×(0〜2本)×左右2 を抜く
アンプケースを後側に抜くと、 → 洗浄&乾燥
主基板上面と、プリアンプ基板底面が現れる. → 筆、小ブラシでゴミ掃除
[内蔵プリアンプ部の修理・改造]
3).VR部分とプリアンプ基板を露出させる
底面の前面側、M3×3本 前面プラスチックパネル止めネジを抜く
VRつまみ4個を引き抜く.(パネルと一緒に抜いても可) → 洗浄&乾燥
前面プラスチック・パネルを前方向に引き抜く.(ワックス仮接着に注意)→洗浄&乾燥
(NDA−シリーズでは更にプラスチックパネルの4本のツメがケースにはまっているので、これを押しながら引き抜く.無視して力ずくで引抜くと、パネルを破損する)
前面パネル止めネジ穴×3にマジックインクで識別マーク(∵組立時の誤認防止)
プリアンプ基板止めネジ×2本を抜く
電流計−極のナットを取って配線を外す.
アンプ底面の前面側(前面パネルに隠されていた)前面サブシャシーネジM3×4本を抜く
VRの軸止めナット4個を外す.モンキーレンチ可.力を加えすぎてアルミ精密ネジを壊さない様特に注意.
前面サブシャーシーを前に出して、プリアンプ基板(VR×4付)を外に出す.
4).VR接触不良対策として、
VRカバーの端子側穴と底側の穴に接点復活剤スプレーのノズルを挿入して一瞬噴射して、VR軸を左右一杯に何度も回す.[
別紙T−a]右上略図参照
→「ガリオーム」は、大抵はこれで治る!治らない場合は、
先ず次項「高周波寄生発振」を疑うこと
VR交換には、位置決め治具が必要.(前面サブシャーシーのVR穴の利用等工夫要)
5).高周波寄生発振対策
NT-40(地区保存)では、プリアンプ基板上のミキサーのバスと接地線間の、マイク1のVR付近に330[PF]を付加すると、特性を害さず寄生発振を止めることができた.
プリ・アンプ終段エミッタ・フォロワー出力部に180〜330Ωを直列に挿入し抑制する.
6).超低周波発振対策1 超簡易=バッテリー電源でスピーチモードでは止まることが多い.
7).超低周波発振対策2 超簡易=外部プリアンプ電源を専用電池ボックスなど独立させる.
オーディオ編集用の市販品プリアンプなら、高性能で消費電流が少ないので使用可能(97/06T議カーで採用していたが、単T乾電池6本で1週間程度は使用可能だった)
8). 超低周波発振対策3 簡易
バッテリー電源使用で、ダイオードD5を挿入(TN-40でメーカー自身が採用したが不安定)
(10D-1、10E-1など1A電源整流用が適∵安価)
9). 超低周波発振対策4 推奨
内蔵プリアンプの電源回路を[
別紙V]に示す回路に改造する.抵抗1[kΩ]2本をR25=3.3[kΩ]とR26=10[kΩ]に変更し、接続点3箇所を変更すればよい.(※不足)
スピーチ・モードに切り替えた場合に、激しく「バチッ」と音がする場合は、当該電解コンデンサーC7(10μF16WV)を交換してみる.←回路設計からみて、若干の音は出る筈.部品代は\25〜\40程度なのでダメモトのつもりで交換.(8Vで30μAはこの用途には使用不可で交換した.一般使用では不良ではないが通常の漏れ電流は2〜3μA以下)
11). [主電源スイッチ接点保護]
電源平滑チョークコイルに大電流が流れているタイミングで、電源スイッチ(NT-40)やパワーリレーの接点(NT-60/NT-101/NB-101/NT-800A)をオフにすると、スパークして電気接点を激しく損耗する.念のためこのチョーク・コイルにダンパー・ダイオード(@\11〜10D-1、10E-1など1A電源整流用)を接続してスパークを吸収させる.[
別紙V]
[メイン・アンプ部の修理・改造]
12). 大信号時の歪み→(コンデンサー不良以外なら、分かり難い故障の可能性)
取りあえず、電源の電解コンデンサーに、補修用の4700μF25WVを並列に接続してみる.これで治って、組立に問題がなければ交換は無用.性能上の振幅制限前の音の歪みがある場合は、いずれかの部品故障や組立ミス.動作電圧を調べて、疑わしい部品を絞っていき、ハンダ付け状況を点検し、部品に力を加えてみて、導通をチェック、部品を外して良否を判断.
13). メイン基板の取り外し.→メイン基板下のサブ・シャーシー丸ごとを外す.
底面のM3×4の止めネジを外すと丸ごと外れる.しかし、調整のため裏返して動作させることを想定した組立になっていないので、交錯している線を一旦外して、絡まないように付け替え(AUX-2のシールド・ワイヤはアンプケースの後側を緩め、ピンコネクターを外して配線の絡みをほぐす)
長さの不足する配線があれば(NT-101/NB-101にそれぞれ1〜2本=出力トランシスタのエミッタ・リードなど)継ぎ足して、基板の裏面を見ながら動作可能にする.
今回、プリント基板にハンダ忘れ!(NT-101)、配線のいもハンダ(NB-101、NT-60)、抵抗器の断線(PanaAmp25S←経時変化による劣化不良.71/01購入品)が発見され、修理した.
14).
小信号時の歪1 (非直線歪) [図−3]参照
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[図−3]B級プッシュ・プル・アンプの小信号歪み→
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バイアス電流不足が疑われる場合、終段トランシスターの無信号電流を測定.チェック・ポイント(無信号時).実測では、TP10,TP11電圧=1.1[V]では、ほぼ正常動作、1.0[V]では歪みが大きい様である.そこで、ゼロ信号時の終段トランシスター
2SD319のコレクター電流Ic(10[mA]未満/対)を確認して対策する.(この調整は必ず電源電圧13.2Vで行う)
UNI-PEX NT−シリーズアンプの場合、終段バイアス電源を定電圧ダイオード(7V〜7.5Vツェナー・ダイオード)によって得ているので、これに直列にシリコンダイオードを順方向で挿入することによって基準電圧を0.6〜0.7V上昇させて、バイアス電流を増加させることにした.2本のバイアス抵抗値を減らすよりも作業が簡単で、電圧も安定している.[図−5]ダイオードの電流−電圧特性を参照
コレクター電流Icの測定.
Ic=(全体−前段部−LED−パワーリレー)/出力対の数
・LED=(13.2V−2V)/470Ω*1000=23.8[mA]
・パワーリレー=電源スイッチの接点に代わり電流計(テスター)を挿入して直読
・前段部=主基板への+電源配線を外して電流計を挿入して直読
・出力対の数:NT-101/NB-101=3対、NT-60/NTC-60=2対、NT-40=1対
音楽 小電力テスト2で、無信号電流を増やしたにも関わらず、気になる音質の濁りが感じられる場合、終段トランシスター(B級動作)の遮断時にドライバートランシスターが遮断せず動作している様に、抵抗付加Re1,Re2、(R25,R26)それぞれ130[Ω]を付加することで緩和する.
[6]設営作業
拡声器の選定
拡声器は、最大出力にだけ注目が集まるが、実際はこれは妥当ではない.音の大きさは、対数特性であり、人間の耳で大きさを聞き分けられる限界は2倍(3[dB=デシベル])とされている.
普通の宣伝カーの60[W]と、右翼の街宣車の600[W]では、10倍もの違いがあるが、音量としては、
10[dB≒フォーン]の違いに過ぎない.まして120[W]との差異はわずか
3[dB]なので、よほど注意深くないと違いに気付かない.
一方、スピーカーの発音能率は、それぞれ数デシベル異なり、室内用のコーン・スピーカーと、拡声器用のホーン・スピーカーでは10デシベル(=10倍)以上違い、更に、一般的には、大口径のホーン・スピーカーの方が音質が良い上、数デシベル発音能率が高い.
また、フィールドでスピーカーの音が聞こえる場所でマイクロフォンを使う用途が主なのだから、スピーカーの指向特性と、マイクロフォンの指向特性(音を拾わない方向がある=単一指向性)にもっと注意を払わないと、ハウリング現象のため大出力が出せないので、アンプの最大出力がどんなに大きくとも宝の持ち腐れになってしまう.
マイクロフォンは、音を拾わない方向の比感度ができるだけ小さい物を選ぶと、クリアーな音質になる.周波数特性を重視した音楽録音用の単一指向性マイクロフォンは、(エレクトレット)コンデンサー型が多く、指向性があまり良くないし、雨に濡れるとすぐに劣化するので街宣用としては不適である.「
単一指向性=Uni-Directional/Cardioide」ダイナミックマイクで、2芯シールドケーブルを使う「平衡型」で、前後の比感度が大きいものが望ましい.「平衡型」はケーブルの誘導雑音を打ち消すので、不特定なフィールドで使用しても妨害を受けにくい.
観客の居る場で使うマイクの場合、鮮やかな色のマイクケーブルがあり、主役の雰囲気によりこれを選択することも検討されるべきである.TT都議候補に対してスタジオ関係の方が鮮やかな赤と、黄色のケーブルを準備して、服装とのコーディネイトに気を遣っていたが、候補の華やいだ雰囲気と良くマッチして引き立てていた.表にでるマイクとコードは、最低限、中性洗剤やアルコールで清拭するなどして、観客の目に泥汚れやビニールテープ痕跡が映らないようすべきである.
ハウリング対策として、1).マイクを手で塞がないよう、Aハウリングの兆候を感じたらケーブル引き出し方向を音源に向け、Bその間に音量調整を若干下げることを、弁士など関係者に徹底する必要がある.一部を塞がれると指向特性が大きく変わり、全方向の音を拾ってハウリングを起こす.ケーブルの引出し方向が最低感度なので、これ(ケーブルの引出し方向)を音源方向に向けるとハウリングが止まる.
ホーン・スピーカーは、一般的に言って(車庫の屋根に引っかかるなど)邪魔にならない限り大口径の方が能率が高く、低域の遮断周波数が低いので、音もよい.加えて、発音方向以外に余計な音が出ないことが必要である.ホーンの遮断周波数以下の周波数の信号を加えてはならない.ホーンのドライバーが損壊する.アンプのパワーレスポンスの下限周波数以下の信号が加わると酷い混変調歪みを起こして音が濁る.音楽ソースを使用する場合や、遮断周波数の高い小口径(500mm未満)ホーンを用いる場合は、適切な低域遮断フィルターをパワー・アンプの前に挿入すること.
プラスチックの角形ホーンなど、形状デザインとしては好まれても、実動作では剛性が不足して高調波の分割振動が大きいし、止めネジが振動で緩んでビビリ音が出やすいので、音が濁り易く、宣伝カーの屋根に乗るとマイクがこれを拾って音質を更に悪くする.可能ならプラスチックホーンは避けたい.
金属ホーンでは、スピーカーの縁にゴムリングを巻いて振動を押さえている例がある.これを、ゴムを外したまま運用してはならない.この点、アルミ合金鋳造ホーンが安心.
スピーカー音質の判定を、後方から行うと、ホーンが分割振動をしていて濁りや歪みとして聞こえることがある.これは前方にはほとんど聞こえないので気にしなくて良いが、ここでマイクロフォンを使う場合、ハウリングには影響する.音質評価は必ず前方から行うこと.
スピーカーの出力分担
アンプの出力インピーダンス表示(4[Ω]、8[Ω]、16[Ω]、32[Ω]、100[V])は、その端子に対応する純抵抗をつないだ場合に、最大出力が得られることを示す.(除く100[V])
スピーカーの最大許容入力よりもアンプの最大出力が大きいと、スピーカーのドライブユニットを破損するので、その予防対策としては
1). スピーカーの最大許容入力よりも大きくない出力のパワーアンプを用いることが基本.
2).スピーカー最大許容入力と、アンプ最大出力を出力インピーダンス毎に、それぞれ電圧に換算して、スピーカー最大許容入力電圧を超えない出力端子に結線する.
電圧i=SQR(電力i×インピーダンスi)
負荷が多様である拡声器用アンプでは、負帰還専用巻線を設けて負帰還回路を構成しているので、負荷の変動に対する安定性は比較的高く、Aの方法を採り得ることが多い.
要は、アンプの最大出力電圧が、スピーカーの最大許容入力電圧を超えない様に接続すればよい.
| | 25 | 40 | 60 | 80 | 100 | 120 | 200 | 250 | | [W]出力
|
---|
[Ω] \[dB] | +14 | +16 | +18 | +19 | +20 | +21 | +23 | +24 | 但0dB=1W
|
---|
| |
|
---|
インピ|ダンス
| 2 | 7.0 | 9.0 | 11.0 | 12.6 | 14.1 | 15.5 | 20.0 | 22.4 | 出力電圧[V]
|
---|
4 | 10.0 | 12.6 | 15.5 | 17.9 | 20 | 21.9 | 28.3 | 31.6
|
---|
8 | 14.1 | 17.9 | 21.9 | 25.3 | 28.3 | 31.0 | 40.0 | 44.7
|
---|
16 | 20.0 | 25.3 | 31.0 | 35.8 | 40.0 | 43.8 | 56.6 | 63.2
|
---|
32 | 28.3 | 35.8 | 43.8 | 50.6 | 56.6 | 62.0 | 80.0 | 98.4
|
---|
400 | 100 | 126 | 155 | 179 | 200 | 219 | 283 | 316
|
---|
4-8Ω | 4.1 | 5.3 | 6.4 | 7.4 | 8.3 | 9.1 | 11.7 | 13.1
|
但し、容量性負荷には不安定なアンプが多く、400Ω負荷の場合に、平行ビニールコードの長さが10[m]〜60[m]で不安定になり高域発振を起こした機種が(TOA製、UNI-PEX製共に)あったので、屋外への設営には注意を要する.出力端子と配線の間に、負荷(スピーカー)のインピーダンスに近い値の電力用抵抗を直列に挿入して発振を抑えるなどの手法が採られる.
なお、出力インピーダンスに100[V]という表示は、負荷インピーダンスの側を調整して必要な出力を得るための表示であり、校内放送や有線でスピーカー毎に消費電力を決めていく方式である.
接続トランスの端子を切り替えて1[W]なら10[kΩ]、20[W]なら500[Ω]、25[W]なら400[Ω]、100[W]なら100[Ω]に設定する.最大出力100[W]のパワーアンプでは、総ての負荷の合成インピーダンスが
V2/P=100[Ω]になるまで負荷をつなぐことができる.
音圧レベルの概略計算
スピーカーの能率については、JISによって、無響室で、1[W]入力時に、スピーカー軸上1[m]の地点での音圧[デシベル]として定義されている.コーン型では85[dB]〜94[dB]、ホーン型では100[dB]〜106[dB]とされているが、アンプとセットで売られる製品ではこの特性表示がないものが増えている.同じ大きさの音を出すのに、スピーカーの能率の違いでアンプの出力電力はおよそ4倍もちがう!
指向性の強い拡声器用に適用するには若干問題があるが、おおよその目安としてこれを利用し計算する.
スピーカーからの距離がL[m]の地点での音圧S[dB]は、スピーカー入力P[W]、スピーカー能率Q[dB]とすると、無反射解放空間で、音源から一様に拡散している場合 (単位面積あたりの通過音響エネルギー比を計算すれば良いから)
S=10×LOG(P)+Q−20×LOG(L)[dB] (常用対数)
今、L=10[m]、P=100[W]、Q=105[dB]とすると
軸上音圧S=10×LOG(100)+105−20×LOG(10)
=20+105−20
=105[dB]
と推算される.
同様に、L=10[m]、P=30[W]、Q=100[dB]とすると
軸上音圧S=10×LOG(30)+100−20×LOG(10)
≒14.8+100−20
≒95[dB]
と推算される.
この数値を比較すれば、実際の音量比較に近くなる.
実運用では、周囲の反射音があり、ハウリングがあり、スピーカーの軸上を離れると大きく減衰する指向性があって、先の式のうち主に距離項に誤差を生ずる.トンネル内の様に拡散のない場合には、減衰要因は壁の吸収しかないので、遙か遠くに届くはずである.
更に、平均出力電力としては、音が歪んで割れない様に、最大値の1/10(−10[dB]、約30%電圧)程度で運用するので、車外でマイクを使った場合に拡声器規制条例の「10[m]地点で90[dB]以下」を大きく越えることはない筈である.(外部の音の入らない車内の「放送室」からは、最大出力まで出せる)
パワーアンプの能率は、70%程度なので、
100[W]アンプの場合、約140[W]の直流入力となる.これは13.2[V]で10.6[A]となり、瞬間にこれだけ流しても電圧降下を起こさないしっかりした配線が必要である.20芯平行コードでは若干不安がある.単線
1.6φ(屋内配線20Amax=ブレーカー付)に相当する、
0.6φ7本撚り電線を準備して配線工事を行うと、配線5[m]につき1[V]もの電圧降下を生ずるので、出来れば配線長を2[m]以内に収めたい.
[別紙Y] 内線規定H8.2.25第9版P622 電線最大こう長表1.単相2線式(電圧降下1V)
尚、平均電流としては3[A]弱なので、安全問題は生じがたいし、日中であれば大容量のフォグランプ取付を許容する小型車の交流ジェネレータの負担能力の範囲であろうから、主にエンジン停止状態でアンプを使う場合にアンプ専用の補助バッテリーが必要となる.
なお、選挙カーは、ほとんどが臨時配線の宣伝カーなので、安全対策に地絡フューズは必要.
[7]技術解説
1). 音楽 小電力テスト1.(非直線歪み=[図−3]参照)
チェック・ポイント=無信号時の終段縦続(ダーリントン)接続トランジスタのVBEは、シリコンのPN接合2段分だから通常1.2[V]程度が見込まれる.これが1.0[V]程度というのは、無〜微少信号時にトランシスターがOFFになっていると考えられる.この遷移領域の小信号時には極端に波形が歪む.一方、大信号時には上下の1/2サイクルづつを上下のトランシスター対で交互に受け持つ(B級プッシュプル増幅動作)ので、高いエネルギー効率で音声電力を発生でき、小信号の歪みはマスクされてあまり聞こえなくなる.
この小信号時の歪みを避けるためには、無信号時にもパワートランシスターに一定の電流を流しておいて、ある一定の大きさ以上の信号で片方のトランシスターがOFFになるように設定すれば、この切り替え歪みが目立たなくなる.これの限界値を、今回の整備では、1対あたり10[mA]以上に調整した.100[W]アンプで3対だから、30[mA]約0.4[W]をこれに当てたことになる.消費電力全体からすれば微少だが、この範囲で音声電力化した場合は、効率が40%として160[mW]出力となり、更にホーン・スピーカーとコーン・スピーカーの発音能率の差、約10[dB]を考えると、家庭用音響機器で1.6[W]出力に相当する大音量になる.
バイアス調整用ダイオードは、最大33mA(動作温度範囲を考慮して最大定格60mA以上)の順方向電流を流せるシリコンダイオードでさえあれば汎用、整流用を問わず何でもよい.電流−順方向電圧特性がほぼ対数特性なのを利用して準「定電圧ダイオード」として利用する.
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[図−5]ダイオード電流−電圧特性(準定電圧特性)
(左右のグラフは、横軸の表記が違うが、同じ値をプロットしている点に注意)
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[図−5]に電流電圧特性図.電流軸(横軸)を対数目盛にするとほぼ直線であり(左グラフ)、これをリニア・スケールで描くと、右のグラフの様な準定電圧特性となる.
この電圧の温度特性は、定電圧ブースターのトランシスターのVBEと同じだから、高温時に無信号電流が増加するのを抑制する方向に働く.但し電源電圧変動の影響をやや受けやすくなる.
Logは10底の常用対数
Is=逆方向漏洩電流(一定値)、
I=順方向電流、
ε=自然対数の底2.7182……、V0=1A時電圧
3). 音楽 小電力テスト2.(少数キャリア消滅歪み) 気になる音質の濁りはないか?
終段トランシスター(B級動作)の遮断時には、接合型(バイポーラ)トランシスタの場合、単なる非直線歪み(1).項)に加えて、極めて急峻な、少数キャリアの消滅パルスが発生して音質の濁りとなり、これを取り去ることが出来ない.電源整流ダイオードの場合は特に激しく、これが原因で整流周波数を上げることが出来ず、またSHF(極超短波)領域にまで及ぶ電波を発生する.
このノイズの大きさはトランシスタ(PN接合部)固有の特性であり、変えることができない.但し、1).前段の遮断ノイズが後段で増幅されない様、後段の遮断の方が早く起こる様にすることと、2).このノイズが目立たない程の音量になってから遮断が起こるように設定すれば、音の濁りが目立たないようにできる.B級ドライバートランシスターが遮断せず動作している様に、抵抗付加Re1,Re2=[
別紙T−b]R
25,26それぞれ130[Ω]を加えている.
原理的には、多数キャリア素子を使えば、電流が遮断されても起こらない現象なので、パワーFET(電界効果トランシスタ)を出力段に用いて設計するか、遮断しない工夫をすれば良い.
4).高周波寄生発振対策
基板毎に付加されたセラミックコンデンサーを見ると、開発製造時点で寄生発振現象は発見されていて、一応の応急対策が取られていたものと考えられる.それが、量産してみて、寄生発振を抑えきれない製品が市場に出回ったものだろう.
対策としては、寄生発振停止に最も有効なコンデンサーの接地点を実験的に探すのだが、基板内にセラミックコンデンサーが元々装着されているグランドラインや、DC+電源ラインを大容量のマイラコンデンサーで接地しても発振が変化して止まる場合がある.これが寄生発振の大元を押さえたものでないと、セット毎に対策が変わり、セットは発振対策のコンデンサーだらけになってしまう.
寄生発振の原因は、シリコン拡散型トランシスターが高周波領域での位相回転がLCR回路よりもかなり大きいためとされており、加えてプリアンプ終段の「エミッタ・フォロア」回路は出力線路が長いと超高域の特殊なリンギング(減衰振動)を起こすことが知られている.これを低周波増幅に用いる場合には、必要な特性を落とさない場所に適切な(パッシブ型の)高周波遮断措置があることが設計のノーハウとなっている.エミッタ・フォロア出力には、直列に抑止抵抗(数10Ω〜数100Ω)を挿入するのが普通である.
プリ・アンプ部Tr.3のコレクター−ベース間のC? 100PF設置は、アクティブ型の高域遮断ではあるが、トランシスターの位相回転のため高域発振抑制の目的にはあまり適切ではない.
内蔵プリアンプの電源デカップリング回路を[
別紙V]に示す回路に改造すると解決する.
超低周波発振の原因は、パワーアンプの電源回路が全体として合計8段の移相回路を構成する位置に、同一共通電源の外部プリアンプを接続する設計のために、結果として「移相型発振回路」になるからである.この超低周波発振現象は、その聴感から通称「モーターボーティング」と呼ばれている.
NT-シリーズ製品の実回路をのぞくと、ここ(移相回路)を改めずに、他の箇所で実験的な対応を続けいるが、使用条件次第で、すぐに障害が出現してしまう.NTC-60型パワーアンプでは、ブースター・アンプとして動作させる場合に、背面のスイッチで内蔵プリアンプを外している.その結果、移相回路が3段少なくなって超低周波発振が収まったのだろう.[
別紙V]に示す回路では移相回路は4段少なくなっている.
Hi.Fi.アンプの場合、早くからこの超低周波発振現象は知られており、(30年余り昔から)移相発振となる様な回路構成を避けて、パワーアンプ部とプリアンプ部の電源系統を分離したり、プリアンプ部には更に定電圧回路を介して電源を供給する設計が普通だった.
NT−シリーズの様な梯子型縦続接続の電源デカップリング回路は、帰還現象を一切考えなくて良かった「並4」「高1」「5球スーパー」受信機時代のものであり、限りなく「設計ミス」に近い「技術力不足」というべきである.
6). 超低周波発振抑制用ダイオード(簡易抑制[
別紙T-b]
D5)の選定.
電流値が200mA弱なので、使用温度範囲を考慮しても0.4A以上の最大定格であれば良い.
1Amax、逆耐電圧30V程度以上の電源整流用ダイオードを利用する.@\15〜@\40
7). 電源スイッチ接点の保護ダイオード. @\15〜@\40 10D-1、10E-1など整流用
大電流時(〜10A)にOFFにすると、チョークコイルにより激しくスパークして接点を損耗する.ON-OFFのチャタリングでも火花を生じて損耗する.このチョークコイルの電流を吸収させる.電流容量は、ON-OFFの一瞬のみの動作なので、整流用ダイオードのラッシュカーレント規格に準じて考えて、1A規格のダイオードでも交流半サイクル30Aといった値が普通なので、これを採用する.LC回路のステップ応答過渡現象のピーク電流Ipは
Ip=V×SQR(C/L) だから
C=6800μF×1.4(誤差規格の上限)、L=10mH
V=16V (エンジンの高速回転時)として
Ip=16SQR(6.8E−3×1.4/10E−3)≒15.6A となって、
1A整流用ダイオードで十分耐えうる値である.
8). シリコン系オイルによる、プラスチックの劣化破壊について.
接点復活剤やCRC-5-56は、使用直後には劇的な効果を発揮することが多い.しかし、同時にこのシリコン系オイルは微少量でもプラスチックにしみ込んで、ボロボロに劣化させてしまう.現に、プラスチックの締め付け代部がボロボロで無くなっていたり、ツマミの軸とのはめ合い部がボロボロですぐ抜けたりというセットが見られたし、テレビの外装ケースなどがちょっとしたショックでバラバラに崩壊したりする.プラスチックケースは汎用品ではないので崩壊しても代品がなく、他が使えるのに廃棄せざるを得なくなる.プラスチック部品には絶対にシリコン系オイルを接触・塗布してはならない.
また、CRC-5-56スプレーは、錆や汚れを取り去り、当面は潤滑作用があるが、グリースなど本来の潤滑剤を流し去ってしまい、潤滑剤のない状態で摺動させ摩耗させる.従ってCRC-5-56の使用は極力抑えて、使用後は軸受け部には潤滑剤(油、グリース)を補充しておくこと.
ホーン・スピーカーは、概ね「最大開口径」を半波長とする周波数以下は、空力的に無負荷状態となって、大電力を加えるとホーン・ドライバーが破損してしまう.この低域遮断周波数以下の周波数の音声信号をあらかじめ遮断する必要がある.最大340mm開口径では、
低域遮断周波数 | ≒音速/遮断波長
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≒音速/(最大開口径/0.5〜0.35) ……(ホーン形状に依存)
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={331+0.7×20[゚C]}/(0.34/0.5〜0.35)
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≒507Hz〜355Hz |
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同様に、最大開口径w=400mm,550mm,610mmでは
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遮断周波数400w | ≒345/(0.4/0.5〜0.35) | ≒431Hz〜302Hz |
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遮断周波数550w | ≒345/(0.55/0.5〜0.35) | ≒314Hz〜220Hz
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遮断周波数610w | ≒345/(0.61/0.5〜0.35) | ≒283Hz〜198Hz
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この周波数よりも低い周波数の信号をホーンドライバーに加えると破損の恐れがあり、またインピーダンスもショート状態に近づき歪みが増える.
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<PowerRes>
10). 出力トランス式パワー・アンプのパワー・レスポンス(出力-周波数応答:低域遮断周波数)
コイルに誘起する電圧は、コイルの巻き数×磁束の変化率である.一方、鉄心の飽和磁束密度は1[Wb/u]前後であるから、周波数に比例して低い周波数では最大出力電圧が小さくなる.周波数が1/10毎に、最大電圧が1/10となり、従って最大電力は1/100となる.それ以上の大きさの入力では、飽和して歪んでしまい、遮断周波数より高い周波数の信号を振幅変調する「混変調歪み」を発生し、これは大変耳障りな歪みである.
この現象を防ぐには、アンプの低域の周波数特性を、パワーレスポンスよりも狭く設計しなければならないのだが、形の上だけカタログ・データを良くするために、大出力をだせない低域まで特性を平坦にしているアンプの方が多い.このため、混変調歪みによるトラブルが発生する.
9).10).項の対策は、パワー・アンプの直前に、9).10).項の高い方の周波数までを急峻にカットする「低域遮断フィルター」が必要である.
「山根式アクティブ・フィルター」2段で、4次〜5次の急峻な遮断が可能であるが、更に、急峻に減衰させるには「パラレルT型フィルター」で通過域下限直下の周波数を減衰させれば良い.
しかし、最大開口径や、(概ね非公開の)パワー・レスポンスに合わせて調整するには、遮断周波数の決定が困難で、しかも周波数切替が大規模になるので、汎用品の設計製作は難しい.
12).プラスチック・ホーン劣化不良
「異常音」不良で廃棄処分とした
TOA製プラスチック・ホーン(SC-25P型25W16Ω355×224mm)を分解してみると、ホーン・ドライバー取付部と、最内部ホーンの接合部の接着剤が劣化ヒビ割れして、そこで異常音を発していた.ゴム系の接着剤を充填して応急修理し調整用機材とした.
松下通信工業製のプラスチック・ホーン(CY-612SD型50W16Ω400×200mm)4本は、3本が組立ビスが緩んで最大1mmも隙間ができて酷い異常音を発していたので、ネジを締め直したが、低音大音量ではデモ行進中に、すぐ緩んでしまった.そこで、ネジ穴に接着剤を注入して、スプリング・ワッシャーを噛まして締め付けて硬化させて使用している.
小口径の、特にプラスチック・ホーンは、男声用には不適当である.
13).
高頻度の製造不良 ハンダ忘れ、
いもハンダ
今回、8台中に3箇所も発見された
ハンダ忘れ、
いもハンダ不良は、
ハンダ作業者への組織的な教育訓練体制が工場にないための製品不良だろう.難しい箇所(たとえばパワートランシスタの配線や出力トランス周り)のハンダ付けは総て適切に行われていて、製造当時、技量の高い作業者は居たことが分かる.いもハンダは当面は正常動作することの多い、見つけにくい不良なので、いくら検査を強化しても必ず不良品が漏れてきて解決にならない.ハンダ付けは、手組の基本的な技術であり、工場の作業者に対して十分教育訓練を重ねて、検査を必要としないだけの安定した技量を持ってもらうほかない.外注先がこうした不良を出した場合、発注元は、品質管理の技術者を派遣して、特別の教育指導を求めるのが普通である.「特別生産体制」というのは、臨時のアルバイトを大量に採用して造っている可能性が高く、その教育訓練と技量の管理には、発注者側からも特別の注意が払われるべきである.この品質水準の製品では、これまで、現場でのトラブル多発が想像される.
「トランシスタ工学」1965/02/15初版馬場三代雄著共立出版 標準工学シリーズ29
第1章 半導体ダイオード 3.p−n接合の電流 P26 (2・6)式〜(2・9)式
I=In+Ip=q(Dppn/Lp+Dnnp/Ln){exp(qV/kT)−1}
=Is(exp(qV/kT)−1)[A/‡] ……………… (2・6)式
In 電子による電流
Ip 正孔による電流
(−Is=飽和電流≒逆方向漏洩電流)
電子と正孔の拡散係数をそれぞれDn ,Dp
p型領域中の電子の数をnp
n型領域中の正孔の数をpn
それぞれの拡散長をLp ,Ln
ボルツマン定数をk 1.374×10-23
絶対温度をT
電圧をV
電子の電荷q=1.59×10-19
T=300[゚K](≒27[゚C])の場合、(2・6)式は
I=Is{exp(39V)−1} ……………… (2・7)式
順方向(正方向)では
I≒Is exp(39V) ……………… (2・8)式
逆方向では
I=Is{exp(−39V)−1}
=Is{1/exp(39V)−1}≒−Is ……………… (2・9)式
(2・8)式をVについて解いたものが[図−5]のグラフの式である.
両辺の対数をとってVについて整理する.
LogεI=LogεIs+39V
∴ V=1/(39×Log10ε)×(Log10I−Log10Is)
≒0.0590406Log 10I +V0
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Last update: 2004/06/12
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