[別紙17] 宣伝カー運行車上マニュアル
1.マイクロフォンの取扱 ←(弁士)
@ マイクロフォンのカバー部を手のひらで覆ってはならない(=マイクの指向性が阻害され、無用の方向から音を拾ってハウリングを起こす).コード接続部付近を持つようにする.
A マイクロフォンの感度の低い方向(≒マイクロフォン・
コネクターの方向)を妨害・
障害音源に向けると影響を軽減できる.
パネルトラックやバスが脇を通過すると、そこからの反射音でハウリングを起こすことがある.ハウリングを感じたら、弁士がマイクの尻(低感度方向)を反射音の方向に向けるとハウリングを抑制できる.
B その間に音量調整を行ってハウリングを回避する. (ミキサー)
C マイクの位置は、なるべく口の近くにする.(戸外なので)
スタジオ向けの距離:30cm〜50cmでは、ハウリングのため、聞こえない.
D 被覆ガーゼは特性を損なうので、1枚までにする.(音がこもり、特に、指向性を損ない、ハウリングを起こしやすくなる.)
2.拡声器アンプの取扱
@ 放熱通風注意!! ←(宣伝カー要員)
雨具やビラで大電力出力アンプ部の通風を止めると、過熱して故障することがある.
操作部=コントロール・アンプ(ミキサー・アンプ)は小さくても、実際にスピーカーを駆動する出力アンプ部は別にあって、ここで大量の発熱があり、放熱通風を妨げると著しく寿命を縮め、或いは損壊する.ジュースをこぼして腐食故障というのもある.出力アンプ上に物を絶対乗せないこと. →(アンプ上に表示する.)
A 音量の調整 ←(ミキサー)
歪まない音量で、ハウリングを起こさないことが肝要である.歪んだ音と、ハウリングは、聞いて不快なため特に大きく感じる.逆に、歪んでない音は、かなりの音量でもクレームはつかない.従って、歪まない音量で、ハウリングを起こさないことが肝要である.だからマイク使用中ミキサーは席を離れないこと!
車外にマイクを置いて運用する場合には、ハウリングが先に起こるので、都拡声器条例の10[m]地点90[dB]規制にはまず掛からない様である.但し、スピーカ軸を絶対下向きにしないこと.ハウリングなどフルパワー状態では、10m地点で最大108[dB](90dBの+18dB≒63倍)になり得る!(500W出力として)
また、高齢者の場合は、鼓膜からの伝道路で「混変調歪み」を起し(いわゆるワレ鐘のような音に聞こえ)クレームになることはあり得るので、若い人の耳では平気でも、器官の老化に対する配慮が必要である.
(なお、音量の目安は、現有各スピーカーとも1[W:ワット]入力で軸上1m地点で110dB定格である.)
B 音質の調整 ←(NX-8400,9400:ミキサー)
○ 「フラット」位置は使わない.∵有害成分も送って音を悪くする.(機材試験用)
○ 「スピーチ」位置は、話が通れば良い場合に使用可.(女声には支障ない)
○ 「イコライザー」位置では、周囲状況に見合った設定を行う.
☆ 運用試験の結果、標準設定として、高域(3kHz)と中域(1kHz)を中位(クリックあり、0時位置)、低域(300Hz)を10時位置とする.
☆ マイクに頻繁に息のかかる弁士に対しては、低域を更にカットすると聞き易くなる.
スピーチの了解に必要な周波数領域は800[Hz]〜3000[Hz]とされているが、この部分だけ音にしたのでは甲高く聞こえる.男性弁士の声の雰囲気を伝えるためには、最低200〜300[Hz]まで欲しい.ところが、ホーン・スピーカーの開口径に反比例する(下限)遮断周波数以下と、パワー・アンプの下限出力周波数以下では音が激しく歪むので、この領域を遮断する必要がある.設計のしっかりしたセットでは、一応低域遮断濾波器を組み込んではいるが、小口径ホーン・スピーカーまでは、対応しきれないので、現場で耳で聞いて対応する必要がある.
C 各種操作 ←(ミキサー)
電源ON-OFFや様々な切替操作は、音量調整をゼロ近くに絞ってから行うことが望ましい.ブツブツと聞き苦しいし、スピーカーのドライバー・ユニットを損傷する危険がある.
3. スピーカーの取扱 ←(ミキサー)
ホーン・スピーカーは指向性が強いことを念頭に、
- 下方向を向けない.←拡声器規制条例に掛かりやすいので危険
- 直接、反射物に向けない.反射音が小さくなる方向を選ぶ.
- 聴衆位置での直接音と反射音の干渉に留意して、(反射音/直接音)が小さくなる方向を選ぶ.反射音が目立つ方向のスピーカーをOFFにしてみて、良い方を選ぶ.
- 低域遮断周波数が200[Hz]以上になる場合(最大開口径が概ね450mm未満)に、男声や、音楽ソースを加える場合には、アンプを「スピーチ位置」にするとか、前出「イコライザ位置」で調整、遮断周波数に応じた低域遮断濾波器を動作させるなど、低音域を抑制して使用すること.
4. 車の運行 ←(運転者)
- 超低速走行時にはバッテリーが上がるので、充電量を下げないために、なるべくLOWギヤで運転してエンジン回転を上げること.(バッテリー増設の1500ccAT車では、最大出力500Wアンプでのデモ行進数キロで、エンストを起こしている)
- 夜間運行時は、なるべくロービームとして消費電流を抑えること.
- IGNキー非連動拡声器での絶対的遵守事項としては、エンジンの止まっている時には、アンプは必ずOFFにすること.バッテリーが上がり翌朝スタートできなくなる。
宣伝カーでは、アクセサリー端子(シガレットライターソケット可=ニッサン自動車推奨)で電源制御を行うことが必須である。リモートON-OFF線に利用∵100W以上など大電流は取れない。
0. 使用環境来歴経過配慮
- 統一地方選挙毎の使用だと4年間放置されて汚損箇所から腐食・錆び付きが始まって接触不良になっていることも多い。イモ・ハンダ等の製造不良が顕在化することもある。従って、宣伝カーに組み上げる前の仮組試験と、プラグやジャックなどの接触部の点検、清拭・研磨・さび落としは必須である。ケーブルが極端に経年硬化すると接触不良を起こすこともあり、新品が得られない場合はケーブル部のみを10分余湯に入れて煮沸加熱して柔軟性を回復させる。(接点部は濡らさないこと)。
- マイクケーブルが雨天などで泥で汚れると乾くに従って汚れが目立って見苦しくなり接触不良の原因にもなる。候補者の服装コーディネートの一環として金色のマイクに赤やオレンジのケーブルにしていても汚れが目立っては逆効果になったりする。遊説開始前などに適宜清拭し、接触確保、美観清潔感維持に努めること。