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短命バッテリーは異電圧車・独立電源車か?
充電管理無しで常時過充電運行!

 車載拡声器専用のバッテリーの損耗が大変激しくて、国政選挙1〜2回毎に新品と換装する必要が有りその都度\7万〜\10万を要するが調べて欲しいというので点検すると、バッテリーの無負荷電圧を測ると業者による充電直後というのに6.5V+8.5Vの15Vしかない。エンジンを掛けると24V前後になる。これは文句なくバッテリー不良! しかし原因追及せず新品に交換しても短命は変わらず再発するだけなのは目の前の現物通りである。
 拡声器の電源構成をみると1ボックス車の走行用バッテリーが12Vなのに対し、拡声器が24V1000Wで拡声器専用バッテリーとして後部荷物室に12V130AH×2基直列を積み、充電専用発電機(オルターネータ)24Vで常時充電する構造で、拡声器不使用時も総て充電していることが判明。 かっての駅頭宣伝で異常を感じた宣伝カーである。真相はやはり過充電による電池故障だったか!See→日記#3-<5>
 拡声器使用中はその平均的使用分を専用発電機が負担しているから充放電均衡のフローティング充電状態で妥当な動作だが、拡声器を使わない時に常時充電されては過充電状態になるのは当然だ。

走行用バッテリーには負荷があり浮動充電で充放電均衡 vs
拡声器専用バッテリーには無負荷でも充電で過充電損傷    <1>

 走行用バッテリに繋がれる負荷には、イグニッションコイル5〜10[A]、ラジエータ・ファン5Aが走行中常時使用で、夜間はヘッドライト60W×2灯の10A、エアコンの送風ファン5A、カーステレオ3A、デフロスター10A、フォグ・ランプ10A等がつながって、発電機(オルターネータ、ACダイナモ)と併せて電力供給していて充放電の差し引きが0+α(充放電損失分)となる動作をしている。 10A〜最大53Aの負荷をバッテリーが電力貯蔵タンクの役割をして瞬時大電流負荷を引き受けて、発電機が全体平均を賄っている訳だ。 大型のフォグランプやデフロスターの長時間使用などで放電側が勝ると過放電となって特別に充電が必要になるが、温暖地では通常の運転をしていれば近年は充電作業はほとんど見掛けない。
 この状態に最大出力150W車載拡声器を繋ぐと、効率65%として最大19A(≒150/12/0.65)で、スピーチ音声の平均動作ではその30%〜1/3の6.4Aを見積もれば良いから、走行用バッテリーと共用で全く差し支えなく動作できる。搭載バッテリー容量は元々の38AH〜44AHだったがいずれも選挙期間中順調に動作した。
 最大出力600W拡声器では同様に、効率65%として最大77A(≒600/12/0.65)で、スピーチ音声の平均動作ではその30%〜1/3の26Aが見積もれる。この負荷を繋ぐのに、経験的にボックスカーと、170AH程度の大型バッテリー換装で走行用と兼用の浮遊充電で支障なく運行できている。
 翻って拡声器専用のバッテリーと発電機を搭載すると、負荷は車載拡声器だけだから、拡声器を使わない時に充電を続ければ過充電破損するのは当然のことなのだ。専用バッテリーを使う場合には拡声器使用に応じた充電が必須になり、その管理に一手間増える。従って充電のON-OFF操作可能に加え、その判断・操作の補助として電圧計や充電電流計が必要になり、操作の手間を激減させる拡声器連動の充電は必須となる。

最大出力が激減!過充電故障バッテリー    <2>

 過充電によるバッテリー故障では、小出力時は発電機による電力供給で普通に動作するが、大出力になると電圧降下して音が歪んでしまい実用の最大出力が大幅に低下してしまう。
 一般のオーディオ機器では家庭用の交流配電線を電源として変圧・整流・平滑して直流電源としていて電源の大容量コンデンサーが瞬時出力の供給源になっているが、大容量の車載拡声機では電源電圧が直流12V〜24Vと低い分、大電流の供給が必要となり、コンデンサーでは供給しきれず蓄電池直から供給するから、バッテリー故障がもろに最大出力に影響するものだ。

過充電故障防止に充電管理が必須
走行用と共用化ならほぼ無管理化だが、異電圧や大出力では管理要す    <3>

 対応策としては「充電管理を行う」ことで、バッテリーの出力電圧や、スピーカー音量を常時監視して小さくなってきたら充電を開始し、充電電流が減るなどして充電完了が推測されるまで充電すれば良いが、それは宣伝カー専任のオペレータを要求するが、専任者の配置など右翼街宣車とか戦艦大和などと揶揄される大型街宣車でないと無理な相談である。
 楽な解決策としてはバッテリーを自動車走行用と車載拡声器用で共用して走行の充電管理に任せるのが最も適切で、大電力アンプでも600W程度までならバッテリーの増設・大容量交換で対応できる。共用方式ならバッテリー状態は走行で常時点検されていて特別の管理は要しない。走行と拡声器の異電圧は余分な充電管理作業が必要なことで避けるべきである。
 拡声器の大出力を求めて走行用とは異電圧拡声機器を選ぶから特別の作業として専用バッテリーの充電管理が必要になるのに、無管理で無負荷時まで常時充電にするから過充電に到りバッテリー故障が頻発することになる。
 その回避・緩和策として、

[写真1] サブミニDIN-10P接続&1/10”蛇の目基板

[図1] 4端子分流器

[写真4]充電制御BOX
  1. 最低限「充電ON-OFFスイッチ」を設けて操作すること、
  2. 拡声機動作に連動させて充電のON-OFFを行う(AUTOモード)
  3. 手動で充電の強制ON-OFFも行える(ON & OFF)
が考えられる。
 任意のタイミングでON-OFF操作を可能にするにはDC 80[A]〜100[A]の耐容量が必要て単価@14,000.前後の直流リレーが必要だが、操作を無音時だけに限れば自動車用リレー20〜30[A]耐容量@1,500.程度でも利用可能となる。 自動車でリレーを使う理由は、大電流を長々引き回せず最短距離指向で配線するためで、ヘッドライトなど多くの大電流電装品がリレーでON-OFFされている(60W×2、12V→10[A])。
   [試算]:1200W出力、24V電源、65%効率での直流入力電流=1200/24/0.65≒76.9[A]最大値。
        連続運転値=76.9×0.3(AM放送平均変調率)=23.1[A]
        ・・・・・・(自動車用リレー「DC20A断」でも無音時操作に限定して利用可)

操作の連動化・自動化    <4>

 「宣伝カー」としての特別の操作を求めても専任者以外には徹底されないから、前出過充電故障や、拡声機電源切り忘れでバッテリー上がり故障を頻発させる。それらの操作は絶対的に必要・不可欠な運転操作に連動させて自動化すれば管理の手間を激減させることができる。

拡声機制御線への割り込み    <5>

 大電力部でのON-OFF制御はなるべく避けたい。適切な制御信号を操作部から得て便乗するのが得策である。
 充電のON-OFFはコントロールアンプ(ミキサーアンプ)の電源スイッチに連動、拡声機自体は自動車のイグニッション・キー連動(エンジン回転連動)が適切である。
 が、当該UNI-PEX製車載拡声機の場合、ミキサーアンプのON-OFFとは別にスピーカー毎のパワーアンプのON-OFFがあって、充電制御はパワーアンプのON-OFFから得たい。すなわちミキサーアンプに引き入れられているパワーアンプ各々の制御線から信号を拾っていずれか一基のアンプが使用されると充電をしたい。UNI-PEXアンプの回路図を見ると各パワーアンプ基板は逆流阻止ダイオードを介して制御線とリレー駆動トランシスタを繋いでいる。これに倣い充電制御もダイオードを介したOR接続で制御線のステータスを拾ってリレー駆動トランシスターに繋げば良い。
 拡声機自体のイグニッション・キー連動も直接制御なら材料費が大電流リレー\1500.〜\15,000.+配線関係部品代だが、制御線割り込みができるとプリント基板装着用リレー\200.余+蛇の目基板など周辺部品で実現できてしまう。(写真1右)
 このように直接、力尽くの制御は大損であり、出来ることなら制御線に割り込んで元々内蔵の大電流リレーに依りたい。

充電電流計、電圧計    <6>

 充電状態の推定に適正な定常状態のデータがあれば電圧計、電流計のどちらかがあれば足りるはずで、高価な分流器を必要としない電圧計だけで管理可能になると思われるが、試作初号機では適正値が確定できないので両方を取り付けて様子を見ることとする。 大電流の計測は「4端子分流器」を電路に挿入してその微少電圧を測って電流値とするもので、計測線を観測点まで延長する。 4端子の60A分流器で\3,000.前後、メーターは\1,000.×2(〜\2,400.×2)程度である。分流器の最大電流定格は計測精度から来ていて、破損・安全限界はもっと大きいので流れるだけなら100A程度は問題ない。

充電制御BOX試作回路    <7>

 充電制御BOXをプリ・メイン接続ケーブル中間に挿入して制御信号を得ると、アンプの改造が避けられ、汎用性を損なわない。しかし関連部品代約\12,000.余を余分に必要とする。一般市販品の無いサブミニDIN-10Pレセプタクル関係をメーカーから入手するためである。 しかし特注部品筒抜けは昔から秋葉原固有の特性であり流れている可能性はあり、広瀬のサブミニ10Pあたりはピン番号がDIN-10Pとは全く逆順で手ハンダ用端子だが\@583.×2個と一桁安価で、そのまま使える可能性は大きい(写真2〜3)。線を先にハンダ付けしてラグ端子やプリント板で接続を取れば良い。専用ケーブルLB-710にはきちんと繋がる。 セットメーカー納入品しか作っていない我が某社の製品が秋葉原に流れてその流通ルートが掴めなかった業界ではあり漏洩流通している可能性は高い。

 ミキサーアンプから直接に制御線を取り出す改造をして充電制御BOXを構成すると安価に作れるが、ミキサーアンプが汎用性を失い故障でも代替できなくなるのと、サブミニDIN-10P接続基板部からの信号線引き出しで工作ミスの回復が難しいなど改造のリスクは生ずる。

本来メーカー対応が必要    <8>

 車載拡声機の直流電源は「ユーザーの責任で扱うもの」とされて、取扱説明書の接続図(図2)は専用バッテリーを用いたものしか表示がなく、イグニッション・キー連動、他機器連動(フローティング充電制御)などの接続線は準備されていない。
 しかし車載での支障の無い使用には、イグニッション・キー連動は必須だし、拡声機専用バッテリーを使う場合にはそれの充電制御は必須なのだから、メーカーとしてその解説は必要であるし、管理を補助するハード的な準備も要るはずだ。
 今の車では走行用バッテリーは主CPUにより端子電圧が監視され充電・放電制御されている(日産解説)。その機能を頼れば、バッテリーを共用・並列で使用し、拡声器使用時の不足分は補助発電機を働かせて補助すれば特段の充電管理作業は要らなくなるはず。取扱説明書に車と同電圧で使用することを明記することは特に重要だ。それを知らずに異電圧で設営してしまったら、充放電制御が必要作業となる。

 先ずイグニッション・キー連動は内部スイッチで「連動←→非連動」を設定可能にした被制御端子を出しておき内蔵の制御リレーに繋ぎ、ライターソケットなどから動作信号を得て内部スイッチを制御有効に切り替えてイグニッション・キー連動とする。リレーの部品代は100円台、プリント基板上の設定スイッチは\50.ほどである。
 充電器連動制御は主電源投入のミキサー・アンプ電源スイッチを現状の単極単投(1回路1接点)から双極双投(2回路2接点)にして1回路分を電源連動充電の制御スイッチとして外部端子を出しておくだけで良い。コスト増は配線と端子を含めても微々たるもの。(同電圧使用を明記していれば無用だが)

[図2] 電源バッテリーはユーザー任せ
 加えて10p接続ケーブルLB-710に1本空きがあるのでこれを充電制御信号線に流用してパワーアンプ部から配線を取り出して(接続ケーブルでも取り出せる)直近に配置の充電制御リレーを駆動すれば操作をミキサーアンプ(コントロールアンプ)で行い実動作部がパワーアンプ直近のバッテリー部となって引き回しが楽になる。10pは現在NC:無接続としてハンダ付けの痕跡もなく空いている([写真11]中央下部参照)

 メーカーに聞くと「パワーアンプを自動車とは別電圧で使うことは全く想定していなかった。だから、充電制御など考えていないから関連製品はない」という。
 しかし添付取扱説明書のどこを読んでも「バッテリー共用のフローティング充電動作が前提」とは書いて無くて、あくまで「専用バッテリーでの動作」を表示しており(図2)、それを前提にしての使用を求めているから専用蓄電池+充電用発電機の使用は取扱説明書の範囲内のことである。だから取扱説明書ではそれを前提にした解説を行うか、逆に「共用バッテリーのフローティング充電が動作設営の基本」と明記することが必要だ。そこが無いのはメーカー側の手落ち。
 「異電圧アンプで宣伝カーを構成するのは某貧民党に目立つ」って、それは民商など関係深い業者に依頼しがちで少数ロットだから特殊なノーハウは蓄積され難く、大出力車ともなると取説通りに走行バッテリー12Vとは独立の拡声機電源24Vにしがちなのだろう。メーカー側の解説に基本的な問題ありだ。加えて宣伝カーに組み上げる業者のバッテリー動作・取り扱い知識の不足があって「フルタイム充電」などという無理な設営になっている。直流50A〜100Aを遮断できるリレーは\14,000.などとかなり高価だから設置をサボってしまうのかもしれない。
 過充電故障・過放電故障の発生はバッテリーそのものの固有の特性であり、適正な管理のできなかったユーザー自身の責任でメーカーの責任は無い。だから、大多数の利用者の便に供する付属機能として「イグニッション・キー連動」を付加、さらに大出力機対応の「充電制御接点」を付加することが「車載拡声機」として親切・妥当なものか蛇足なのかと言う判断になるが、アンプ切り忘れによるエンコは多発しているし、あっという間に壊れる専用バッテリーでその都度新品換装に7万円〜10万円を要している現状に照らして、メーカー側で配慮すべき補助機能だろう。

 加えて、地絡フューズの問題だが、市販の自動車用フューズでは30Aが最大なのに対して、1200W出力機で12V電源でデジタル・アンプの効率≒90%では最大負荷電流が1200/12/0.9=111[A]、1アンプ当たりでも27.8[A]だから、4アンプの電源ホット側を独立給電としてそれぞれバッテリー端子直近に30[A]フューズの設置を指導勧告すべきだ。
 1999年頃メーカーに地絡フューズの必要性を指摘して取扱説明書の改善が図られ、現在は中出力60W機程度までの接続図には地絡フューズ設置勧告の注記がされるようになったが、150W以上出力機にはまだその記載が無い様だ。See→UNI-PEX車載パワーアンプ NB1502D取説PDF /NB3002D取説PDF
 地絡して発煙するトラブルは現に発生して車から避難しており、それが地絡フューズ1本でブロックできるのだから簡易マニュアルに明記・徹底されたい。アンプの一部が飛んで利用できなくても応急措置としてアンプの片チャンネルで前後スピーカーの駆動は可能だし、パワーアンプ4台中2台が故障して音が出ていないのに残る前後1本づつで故障に気付かず本番の選挙カーが運行していたこともある。 搭載アンプ交換時の「活線作業」でうっかり地絡させることは良くあり、その際でも地絡フューズが飛んで安全を確保しバッテリを保護する。本年2015/03の搭載・交換作業でも30A地絡フューズを2回も飛ばしてしまいフューズ交換している。 だから「安全優先」で、地絡フューズ設置を周知徹底すべきである。 選挙カーの拡声機故障は97年都議選の街頭演説中に通りかかって無音のスピーカー2本に気付いて20時の運行終了後に帰着現場での修理となったが、宣伝カー搭載前の動作確認と本番前の運行試験は必須であることを示した。

充電制御BOX試作回路    <9>


[写真5] 制御BOX背面

[写真7] サブミニDIN-10P接続基板

[写真6] プリント基板リレー

[写真8] ケース加工中

[写真9] 充電制御BOX

[表1] 130AH12V入手価格

規格型名市価
単価@価格
Panasonic-125AH125D26R/L@34,951.\69,902.
ATLAS BX-125AHMF125D31R/L@20,366.\40,732.
VARTA-115AH115D31L/R@34,538.\69,076.
GS YUASA-115AH115D31L/R@35,465.\70,930.
??-115AH115D31L/R@31,980.\63,960.
?12V38AH38B19@3,980.@1,900有

「過充電故障」の都度、上記費用が必要に!
実運用時間からすると極端な短命になっている

[写真10] スイッチング・トランシスター
2SA1358Y β=hfe=211 を示す

[表2]  充電管理
操作仕様

SW位置動作
AUTO 拡声器と連動
OFF 不動作
ON 充電

「AUTO」モードでは
アンプ動作時のみ充電
連動してON-OFF
過充電抑制策


[図3:改良回路]:ミキサー・アンプから直接信号を得る(高価なサブミニDIN-10Pコネクターと中継ケーブルは不使用)    <10>

サブミニDIN-10Pレセプタクル回りの配線色

 サブミニDIN-10Pコンセント回りの配線はJISカラーコード0〜9を基本として、7紫のみを除いて8灰色、9白色、0黒色を7,8,9pinに充てている。 (10pはNC:無接続([写真11]中央下部の無ハンダ端子)だが、パワーアンプ入力部の接続基板内とLB-710ケーブル自体では接続されている。 これはパワーアンプ直近に配置されるであろう充電制御リレーのリモート制御線として使えそうだ。 パワーアンプ末端の空き入力コネクターからケーブルで制御信号を取り出すことも可能)。
 DIN-10Pコンセントの配線割り当てがCTRL-GND:7p、+電源:8p、GND−電源:9pであり、これの黒=GNDイメージに合わせたものと思われる。
 広瀬製の独自規格コネクター(@583.リード線手ハンダ用)はサブミニDIN-10Pに代用できるようだが、pin番号が逆順に付されていて、番号の付け方自体にはDIN-10Pより判別しやすく合理性があるけれど、実装時にどうしているか要注意。 基板の端子番号は元通りで変えてなく逆順に繋いでそのまま継承しているのかもしれない。
 実装は先ずレセプタクルに10色コードをハンダ付けしてこれを立ラグやプリント基板に繋ぐこと。

[図4] 原回路:写真4,5 & 9↑のもの(サブミニDIN-10Pコネクター&中継ケーブルを使用)    <F4>

[表3] 音声信号レベル
表記 基準 用途
0 dBm 775mV
600Ω1mW基準
オーディオ全般
0 dBV 1 V 拡声機関係
0 dB 100mV 小型オーディオ機器

ラジカセ等の小型オーディオ機器とは20dB差
レベル調整が必要。拡声機は概ね共用可
概ね+10 dB〜(+3 dB)までが直線範囲

[写真11] DIN-10P接続基板の短絡状態

[写真12]半田付けやり直しで回復

高密度実装基板でハンダ付けに経時短絡発生!
必然性のない高密度基板使用は回避すべき!より厳しい工程条件で不具合量産    <11>

 先日、車載拡声機搭載前の地上試験をしていてパワーアンプ内のミキサーアンプ保護フューズを何回も飛ばしてしまうので調べると、ミキサーアンプが電源地絡故障を起こしていたが、既に製造中止から7年の修理期限切れでメーカーには取り合って貰えず「自力修理」を試みた。突然の短絡や断線は原因が比較的判明しやすく修理できる場合が多い故障である。
 ミキサーアンプの中を明けてみると、高密度配線であるサブミニDIN-10Pの接続基板のハンダ量が過剰で経年腐食で樹枝状結晶を生じて隣接端子と短絡したもようで隣接する電源+−が短絡してた。([写真11]参照)。電源+(8p)と隣接する−(9p)、制御GND(7p)の配線3本を半田付けし直して盛り上がるハンダ量を減らすときれいに回復。(半田付け時の加熱保持時間がやや不足した模様)。
 高密度配線には見合った厳しい条件管理が必要なのに製造現場にそれが不足した、あるいはユーザーの自社製品囲い込みのために車載拡声器には無用の高密度配線を使ってトラブルを呼んだものと言える。
 松下通信製車載拡声器の専用接続ケーブルは特別のキー溝を付けた特殊なコネクターを採用してユーザーの囲い込みを図っていたが、サブミニではない普通サイズのコネクターのため普通の工程で製造できていた。性能には無関係の無用の高度技術は使わないのも優れたバランス設計ではある。
 統一地方選挙前の車載拡声器増産体制はこうした不慣れのトラブルが増える様で、UNI-PEX製旧型のNB-101パワー・アンプでは半田付け忘れ2箇所、イモ・ハンダ1箇所とか、のぼる電気製旧型YB-51ミキサーアンプでもマイク回線2本ともイモ・ハンダで後日接触不良発生という酷いものも経験しており、電解コンデンサーの劣化容量抜け不良頻発と併せ散々だった。近年は電源の電解コンデンサーの容量抜け不良をみなくなったが、コンデンサーの品質向上だけでなく主回路電流がバッテリー依存の設計に切り替わったことも寄与しているのだろう。生産量の桁違いに多い家電系製造の方がハンダ付けの品質にこだわって教育訓練していたが、拡声器製造各社も製造で作り込む品質の管理としてもっとしっかりして貰いたいところだ。 もし、わが某社でこんな不良が発生すると半日ベルトを止めて教育訓練が行われてJIS-9001管理で個人特定された作業者が曝し上げられ、JR各社の懲罰的日勤教育の様な罵声は飛ばないものの同じ不良を繰り返す下請けは先ず切り捨てられる。

「イモ・ハンダ」とは

 通商「イモ・ハンダ」と呼ばれるハンダ付け不良は、見かけ上はハンダ付けされているのに導通していないとか、時が経つと不導通になったりハンダ付けが取れて断線してしまうやっかいな不良である。原因は主に2種。1つはハンダ付け対象物表面にハンダが流れず合金層ができずに不導通や経時不導通になるものでハンダ面の汚れや加熱時間不足が原因とされる。もう一つは溶融ハンダが冷めて固まる直前に対象物を動かしてしまい結晶状態が荒れて経時でそこから破損断線するもの。ハンダが固まるまでは動かしてはならない。
 ハンダ付け初心者がよくやる不良で当人は気付かないから遅発性だと製品出荷検査をもすり抜けて売られてしまい使用現場で発生するユーザー迷惑な不良で、自作のラジオ少年達はまず経験している。家電業界ではそれを防ぐ特別の教育が実施されて、座学による知識とハンダ実技検定を行って1級2級などとランク付けして品質安定を図っているものだが、特殊分野である拡声器製造業界では未実施だった模様。

ハンドマイクにも単一指向性マイクが必要
オーディオ用ミキサーで紐付き指向性マイク使用可に    <12>

 「スーパーメガホン」:いわゆるハンドマイクに添付の紐付きマイクロフォンは無指向性でありマイク・コードも短いためハウリングを起こしやすくて音響出力が出せず大変使いにくいものである。See→日記#4。 解決策として、指向性ワイヤレス・マイクとその受信チューナー付きハンドマイクは卓効があるが大変高価で個人では手が出にくいものだ。ハンドマイク添付の「ライン入力」は0dBV(1V)基準の模様で信号レベルが合わずにマイクロフォンでは使えない。 そこに安価な超小型の可搬オーディオ用マイク・ミキサーを繋ぐと信号レベルが合って、紐付きの指向性マイクを使えるようになり「スーパーメガホン」が使い易くなる。マイクミキサーが一般向け汎用品なので費用は拡声器用ミキサーアンプより1桁安くて済む。
 ミキサーは嘗て@5,500.前後で入手したSONY製MX-50型、乾電池動作のもので、接続ケーブルはオーディオ標準のRCAコンセントと標準サイズのプラグ・ジャックとシールド線で変換ケーブルを構成する。マイクコードが5mもあれば敢えて高価なワイヤレスマイクとする必然性は薄くなる。古くて気が引け本番には使いがたい紐付きマイクでも流用すれば良い。

 スピーチ用として現在拡声器メーカーUNI-PEXが推薦しているのがMD-58、定価\22,000.で首相、党首クラスが使っているもの。以下MD-57\17,000.、MD-56\13,500.、MD-53\6,500.とラインアップされているが、同社の嘗てのラインアップでは定価ベースで\40,000.、\10,000.、\7,000.とあって、そこから市会議員選挙用として日活撮影所録音係の音響技術者が\10,000.クラスを選んで市議会議員選挙毎に各候補者に新品1本と旧品2本を渡していて、それが大変適切な特性だった。 地方選3期12年周期で置き換わる。幹部活動家としての指導・アジテーション能力だけではなく本業の方でも「さすが音響のプロ!」と感心したのだった。 その日活撮影所録音係氏の選択に倣うとMD-56:\13,500.+税〜MD-57:\17,000.+税に大量購入仕切り率を乗じたものが地方選挙の必要性能を満たすコスパ優良品として適切かもしれない。 マイクにはカラーテープを貼り1〜3の番号付けをして車上での混乱を避けた。マイクコードがお互いに絡み合って操作ミスを起こし禁忌であるハウリングを生じさせる事故予防としてそれは有効だった。
 が、一方、使用者である候補者・運動員を気分的に乗せるには「首相・党首級と同じマイク」\22,000.を奮発して激励するのも良い選択ではある。安い「音楽用」など指向性性能が悪くハウリングで大声を要して大変使いにくいものや変形・錆び付きなど汚損の酷いものでは思い切り盛り下げて意気消沈させかねないから本番での使用を避けるというのも心理面を考慮した利用技術だろう。

[図5]単一指向性(Cardioide)

[写真13]アッテネータ組込プラグ
 さらに、「舞台衣装」のコーディネートを行う中に、マイクロフォンの形状やマイクコードの色なども含めるべき。特に華やかな女性候補には効果が大きかった。スタジオ業務関係者が候補者の雰囲気に合わせて金色の長尺指向性スピーチマイクと赤などのマイクコードを用意してくれて都議選を闘って2人区で奇跡的当選を果たしたがその姿は非常に印象的で大いに効果があった。販社も虹色カラーマイクコードセットでも準備して売り込めば良いものをと思うくらいである。雨などでマイクコードに付着した泥汚れは乾くにつれて思いのほか目立つので常に清拭するのは当然だ。

 但し、オーディオ用ミキサーを流用するにあたり、拡声器等ホーンスピーカーを使っている場合は、その遮断周波数以下の信号が加わるとそのホーンドライバーを破損させる場合があり、パワーアンプに適切な低域遮断特性があることを確認して使用すること。旧型拡声機パワーアンプではホーン遮断周波数対応の低域カットの配慮のないものを良く見掛けた。低域特性の良い大型出力トランスが使われていて低域遮断フィルターは組み込まれて居らず、ホーンの低域遮断周波数以下の信号を送り込めるものがあって、ホーンドライバーの破損回避にスピーチ・モードで低域遮断して使っていた。
 嘗て右翼街宣車が破れ声の酷い音をまき散らして一般国民を威圧していたが、あれは低域遮断をせずに大音量の軍艦マーチを流し続けてホーンドライバーを破損させていた音ではないだろうか。 国民威圧の右翼達の悪業の報いでザマミロ!(w)というのはあるが、設計のバランスは採れていなかった。 最近の推奨拡声器キットをみるとスピーカーの許容入力をパワーアンプの最大出力より大きいものにしているが、そこは理に適った選択である。アンプの出力定格は正弦波動作が前提だから歪ませた方形波では2倍も出てホーン・ドライバーを疲弊させる。

 逆に過大入力の適正化には小型抵抗器でプラグ内に減衰器を構成させれば良い。イヤフォーン出力をマイク入力に加えたい場合などに使う。(写真13)。 中間の信号受け渡しは各社勝手な規格で製品を出していたのが概ね[表3]のようにまとめられた。異種分野間の混合利用には増幅や減衰といったレベル合わせが必須である。 一般の利用者にとっては拡声器のdBV(=1V基準)とオーディオのdBm(=1mW@600Ω基準≒775mV基準 )は同一視して差し支えないが、ラジカセ等100mV基準の製品の混用ではレベル合わせが必須である。

2015/03/08 18:00

P.S.
【寒冷対応】    <PS>

 寒冷時の運行に最も影響するのは実はバッテリー。0℃付近の低温で出力が半減して起動できなくなったりする。それは鉛バッテリーに限らず化学反応がエネルギー源である電池全般の特性で、雪中撮影中にアルカリ・マンガン電池駆動のモータードライブが動かなくなるとか、リチウムイオン電池のアシストバイクがちょっと踏み込むと保護回路が働いて停まり走行距離も千葉市の使用で夏季の1/3に激減するのはひとえに低温のため。 寒冷地仕様車では関東など太平洋ベルト地帯向けより大容量のバッテリーと発電機を積んでいる。 不凍液はラジエータの冷却液凍結による破損を防ぐもので、平地仕様のまま冬の山中湖畔(標高1,000m)に数泊して出発しようとすると凍結してラジエータにヒビが入っていて動けなかった!
 対応策は、まず電池を冷やさないこと。温度に対応した不凍液使用は当然として、巷間「ボンネット内に電球を点灯して入れろ」などと言われるが、もっと直截にはバッテリーに白熱電球を抱かせると低温による出力低下を防げる。アシストバイクなら電池を人の住む屋内に取り込んでおけば良い。野晒しではいけない。 自動車なら起動さえできれば後は発電機が働いて正常動作だが、大出力の拡声器ではバッテリーの低インピーダンスを当て込んだ動作だから十分な出力が出ないこともあり得る。保温の過熱が心配なら温度調節のある電気あんかでも巻き付けて保温すること。

P.S.2
【配線太さは最大出力相当で】    <PS2>

 拡声器の平均電流は最大出力時の1/3〜以下だが、最大電流に耐えて、しかも電源電圧が低いので電圧降下も特に小さくする必要がある。 大電力アンプほど専用バッテリーをアンプ直近に置くことが必要だ。(150W出力程度なら気にせずとも大丈夫)。 運転用と共用の増設バッテリーでも、エンジン始動に必要なので元位置に残し、増設バッテリーをアンプ直近に置いて並列運転としフローティング充電として一括管理する方が、大型電池に一本化するより安価で実際的かもしれない。 電圧降下1Vとなる電線長を表4(「別紙Y」)に示す。(東京電力内線規定より抜粋)

P.S.3
【アイソレータは逆効果?】    <PS3>

 自動車起動時のスターターモータへの大電流による損耗から拡声器専用バッテリーを保護するため、「アイソレータ」を挿入したものだが、単純な逆流阻止機能だけだと拡声器を使わない時でも充電一方だから冒頭に述べた「専用バッテリーの過充電故障」に至る。逆効果である。 始動時だけ切り離して運転時には並列なら専用バッテリー延命に有効だが、逆に完全並列動作として自動車用と一緒に交換する方が管理の手間が省け長命化できる可能性があって、条件次第はあるがアイソレータ挿入のメリットはあまり考えられない。

【補足】

 アイソレータ使用状況報告のmailを鳥取から戴いた。動作条件は走行用と同電圧の拡声器で補助バッテリーをアイソレータを介して設置、充電管理はないが、アイソレータでの電圧降下がダイオード分の約0.7Vある動作で、支障なく動いていて、過放電故障は経験しているが過充電故障は発生していないとのこと。
 [追伸]アイソレータ内のダイオードにショットキーバリア型を並列付加することで過放電トラブルは無くなったとの追伸メールを戴いた。アイソレータの機能として電圧が落ちると警報が出るとのこと。(2019/01/31追記)
 走行用バッテリーが主CPU制御で充放電管理していて、その電圧より常に0.7V低いのだから常に放電気味で過充電にならずに済んでいるのだろうが、過放電にまで到るというのは検討が必要だ。ジェネレータの充電能力を超えている場合には走行バッテリーにも当然影響するだろう。出力次第だがアンプ動作時に補助ジェネレータが必要な状況なのだろう。 イグニッションキー連動などによるアイソレータで、電圧降下ゼロでは様子は分からない。完全別電源では電圧に依らず充電管理は必須である。

参照→
   車載拡声器用パワーアンプ メンテナンス手順
   宣伝カー設営マニュアル
   目次

2015/03/12 18:00
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