拡声器扱いDQN!DQN!
たかが拡声器などカラオケマイクと変わらない!というのは一般人の電気製品に対する感覚としては当然だけれど、実際は
車載、大音量、屋外、低電圧、大電流、直流、ホーン、選挙期間など稀な使用と、日用品とはかなり違う使用環境が絡んで
思わぬトラブルに見舞われながら使用している。そのトラブルを回避する覚え書きとして
設営マニュアルと
保守マニュアルを作成したけれど、どんな失敗をしたかが判ると設営基準の意味が深く理解できるので、ここはDQN晒しページとしてまとめる。エラーを笑い飛ばして家電製品とは違うと理解。反面教師にして繰り返さない様にしよう!な・る・べ・く・ネ。
[0].なんで取扱説明書を捨てちゃうの!
取扱説明書(以下「取説」)があれば最低限、必要物と結線と仕様は分かり、シロウトでも組上がるのだけれど、大抵はきれいさっぱり処分してしまっていて、リモート制御プラグ&コネクターさえ全部捨ててしまっている!新品6台を渡して使用後、五月蠅く言った専用特殊ケーブル類は切断されずに全部戻ったけど、取説が戻ったのは1冊だけ!あとはゴミと化したらしい。文科系の人達が仕切るからなのか?管財係でも作って、取説&保証書&備品台帳管理を!というのは文科系の感覚じゃないんですかね?
[1].なんで特殊規格専用ケーブルを切断するの!
昔の配線は平行コードのネジ止めだったから、レンタカー返却に一刻も早く解装するんで、切断しても許容範囲だったけど、一般市販品の無い特殊規格品の専用特殊ケーブル3,500.円とか8,500円をちょん切っちゃイカン!市販品組立の10倍もの値段もさることながら、7年を過ぎたら入手不能なのが特にイタイ。サブミニDIN-10Pなんて規格、行き慣れた秋葉原中探し回ったが著名部品メーカーでは製造して居らず、入手法が判らなかった!だからモデルチェンジされてると本体買い換えを迫られてしまう。ケーブル8,500.円、本体11万円(ちょっと昔なら38万円!)。多くは4年毎の統一地方選にしか使わないのだから散逸させやすくて、それが入手不能になっていて大変だ。
(
旧コネクター増設例。これで旧型のブースター・アンプを使用した。時間と製作スキルがあればトライ可!切り子が基板に落ちないよう注意。現行コントロールアンプはマイク専用ICを使っていてヒスノイズが激減しているので旧型と比較して見違える音質に聞こえる)
[2].マイクを手で覆わないで!
ハウリングしかかると、マイクを掌で覆う人が多いのだが、拡声器では指向性マイクを使うので、その遮断方向の感度が上がり返ってハウリングを激しくする。正しい操作はマイクの最低感度方向を妨害音源に向ける。通常はスピーカーだが、バスやパネルバンが通りかかってその反射音でのハウリングは反射音像の方向に最低
感度方向を向ける!
その間にアンプ感度を落として調整する。
屋外では、マイクを口のそばで使う必要がある。NHKスタジオ使用型で30cmも離して使ってはハウリングばかりで駄目。
# 単一指向性マイク=1方向に感度を持つマイク、又は、1方向が特に低感度のマイク。表示=
cardioid/
uni-directional microphone等
[3].ジュースをアンプ上に置かないで!
アンプの蓋を開けると粘着物がべっとり付いてその範囲が赤錆で、基盤まで汚れててる。ネジも錆びて固着して動かない!べたべた感は糖分の模様。基盤を外して洗浄乾燥し錆をペーパーで研磨して落として復旧。ジュースを掛けた直後だとまだ手入れが楽だが何年も放置して腐蝕が進んで居り清拭に苦労した。
[4].アンプにレインコートを掛けないで!
演説中に音が止まってしまう!救援に駆けつけると復旧してる!というのを2度繰り返して点検同乗(窓からのぞく聴衆の反応は当選間違いなし!地方議会選挙ごときで行く先々で続々道に出て美人候補者を見に来るのだから(笑)。暫くして音がブツブツ途切れ途切れになり、レベルメータからみてパワーアンプ段。ふと見るとパワーアンプにビニール・レインコートをスッポリ被せていて、触るとチリチリしてケースに触っていられないほど過熱している。こいつだ!と思って引っぱがし扇いで冷却すると復旧。以後「発熱大、荷物を置かないで!」という3角柱を立てて他の宣伝カーにも徹底し乗り切ったが、障碍の真の原因はアンプ内部にある増幅度設定の半固定ボリュームがガリオーム状態(接触不良)を起こしていたため。アンプ1台に5個のボリュームがあり、整備を引き受けた15台総てのボリューム摺動部に摺動接点復活剤を吹きかけたつもりだったが、トラブルになったセットの内部半固定抵抗1個だけ復活剤の吹きかけ落ちがあり(∵そこに復活剤塗布の痕跡がない)、過熱で顕在化したことが分かった。主要因は放熱を妨げたこと。
[5].プラスチック部には接点復活剤厳禁!
分解しないままの
接点復活剤噴霧厳禁!
アンプ前面のプラスチックケースのネジ止め代や、ボリュームつまみの嵌合(かんごう)部が乾燥した羊羹のようにボロボロに崩れて使えなくなっているセットが在る!これはプラスチック部に接点復活剤を塗布してから半年〜1年で現れる現象。ABS樹脂のテレビケ−スがバラバラに分解することもある。絶対掛けないためにはセットを分解して、必要箇所だけに塗布する。誤って吹き掛かったら中性洗剤などで丁寧に清拭すること。
[6].アイドリング・ストップは駄目!
最大600W/平均60Wじゃバッテリーが上がってスタート出来なくなるかも
出陣式の街頭大演説会を聞いていたら、次第に音が小さくなってくる。それはバッテリー挙がり直前に見られる症状。急いで宣伝カーに近づいてみるとエンジン停止中!=発電機停止中!起動不能になってるかも!運転手に言うと「アイドリング・ストップ中!」。馬鹿言っちゃいけません。最大600W/平均60Wの大出力アンプでは平均20A前後の電力供給が必要。エンジンを止めたら浮動充電の自動車バッテリーはスグ上がり起動できなくなる!間一髪エンジンを起動できて事なきを得たが、エネルギーを加えなければ念力だけじゃ音は出ませんて。
イグニッションキー連動は必須事項だ!
[7].アンプ電源の切り忘れで起動不能!
イグニッション・キー連動が必須条件
アンプ電源を切り忘れるとバッテリーを消耗して車が起動不能になる(駐車灯やドア灯と同じ)。不特定の人が運行する処では年に数回もバッテリー揚がりで急速充電をしてはバッテリーを損耗していった。浮動充電型では
不特定の人が扱う場合は、イグニッションキー連動が必須条件になる。制御信号はカーオーディオなどを接続する「アクセサリー端子」や「シガレット・ライター・ソケット」から取る。ヘッドライトなど大電流器具はリレー制御になっていて、イグニッション・キーを抜くと連動して切れる構造なので、パワーリレーは出回っている。(と宣伝カーの持ち主それぞれに文書を添えて連絡しているが改良したとこはまだ無くバッテリー上がりを繰り返している(笑)
[8].マイクは予備を持つか、新品1本を!
必死の選挙戦で、思わずマイクコードを強く引くのだろう。ワイヤーが途中で折れていて接触不良を起こしているのを良く見掛ける。だが生半可な(折り曲げや引っ張り力を掛けない)事前テストではパスしてしまった!即、予備の再生品と交換して修理。ちなみにスタジオや映画業界ではケーブルを激しく折り曲げての断線テストが助手の重要な準備作業になっている。この断線テストを一般人に求めても発見しきれないので、予備を持つか、少なくともマイク1本は新品を使うなどの方が安心。手荒い扱いで故障しても別の1本が生きていれば繋げるから。
[9].アンプが日射病!
アンプが直射日光で過熱し、不動作に!
あわててアンプに日陰を作り、ブロアーを持ち込んで冷却し切り抜け。人間様は汗だくで奮闘で、アンプより丈夫!(笑)
[10].マイク・ケーブルも服装のうち!
候補者の服装にはかなり気を使うが、雨後にマイク・ケーブルに白く泥が付いているのを結構見逃している。黒いコードでは特に目立つのだが、あれは興醒めだからこまめに
濡れ雑巾 で清拭しよう。
接続部を濡らさなければケーブル部だけバケツの中性洗剤に浸けて洗っても良い。スタジオ関係では黒か灰色の無彩色じゃなく、赤黄橙緑青空などのカラーケーブルを準備してタレントとのカラーコーディネートを図っている。華やかな雰囲気の候補にはそうした配慮が映えるから気を遣って欲しい。カラーの延長ケーブルはせいぜい\2,500.程度だ。スタジオ関係者が高級マイクと共にそれを準備してくれた時もあった。深紅のケーブルも黄色のケーブルも華やかな雰囲気の候補に良くマッチしていたよ。でも、スタッフ達は誰もそのスタジオ作業の専門家の配慮に気付かなかった様だ!トホホ(笑)気付いてあげてよ!音が出るのは当たり前でトラブル・ノーだけではクサってしまうじゃないか。
[11].平行スピーカ逆極性じゃ訳分からん!
相互干渉で打ち消し合い、了解範囲が半減の怖れ
平行する2つのスピーカーの音の極性が逆だと、右図の様に互いに打ち消しあって良く聞こえない範囲が出来る。メタルコンセントの専用ケーブルを使えば避けられるが、業者がそれを一旦切断して再接続した宣伝カーで逆接続をやってしまった。事前に極性(通称:位相)テストは不可欠だったが、駐車場で音を出すのは無理だから、事前運行による本番テストしかないが、今回は試験補助者が得られず、専用ケーブルで暫く運行していた車両というので大丈夫だろうと思い、試験を省略してアウトに!。
発見法は、両方のスピーカーに向かいその中央に立って、左右に頭を動かすと、音像がスピーカー外の左右の空間に飛ぶ様なら逆極性、中央位置に止まって聞こえれば同一極性。(自分の声では判別出来ない。他の人に頼むなど他に音源を求めること)。
地域から「宣伝カーが何を言ってるか聞き取れない」という通報があって緊急に呼び出され、なりわい仕事を放りだして半日掛かりで宣伝カーを追い掛けて原因を突き止めケーブル交換で応急修理してホッと。
それをエライ人が「元々音は出てたんだろ!」とは激トホホ!音声の
了解到達面積が半減というのは重大な不具合でしょうが(苦笑)。スピーカが1本切れてても、雑音があっても、逆接続でも、ほとんど気付かないというのが実績だから、判断できる者が事前点検して機材の性能を最大限引き出せるようにする必要がある訳だ。ここが理解されず元々のトラブルで振り回されてしまう。
[12].携帯電話等混信にフェライト・ビーズを!
拡声器近くで携帯電話を使うと激しく「ジャーーー」という雑音が出るのは携帯の電波が直接回路に飛び込んでいるから。拡声器配線や基板とはなるべく距離を取って使うことと、入力コネクター手前に雑音防止のフェライト・ビーズを挿入すると解決・軽減ことが多い。対策成功までは、宣伝カーを降りて通話すること。携帯電話中継局の廻りやAM放送混入の場合も同じ対策をする。
2分割式のフェライトビーズをケーブルのプラグ側(アンプ入力寄り)に嵌めるとかなり電波障害を避けられる→
制御アンプから出力アンプまでの中間ケーブルも同じ。
[13].
ワイヤレス・マイクの混信・傍受に注意!
ワイヤレス・マイクは便利だが、
チャンネル数が少なく他のユーザーと電波利用が衝突して、駅の案内放送がもろに入ったり、スーパーの店内放送混入や、逆にこちらの音声が放送されるのは珍しくない。だから常にケーブル式マイクを使える様にしておくことと、他者がまず使いそうにないチャンネルに設定しておくこと。販社の設定は11〜13チャンネルが多いが、そこを意識して44チャンネルなどに設定し直して運行する。視力が良ければその場でチャンネル設定し直せば良い。(今後デジタル化の見込みだが現在はアナログ式が主)
[14].差込看板の泣きは詰め物で!
差込看板がスピ−カーに共振してビービー音を立てることがある。これは聴衆にはまず聞こえないが、弁士の神経を疲れさせるので対応を採る。看板の差込溝に裏から詰め物をすればまず止まる。
[15].ボイスコイルを飛ばさないで!
音楽は要注意!ホーンの遮断周波数と、低域遮断濾波器
拡声器に使うホーン・スピーカーは家庭用のコーン・スピーカに比べて大変効率が良くて10倍から100倍(=10〜20dB:対数聴感)違うが、弱点として開口径に依存するホーン遮断周波数があり、これより低い周波数では振動板が無負荷状態になって、ボイスコイルを破損したり、音を著しく歪ませたりする。
拡声器に慣れたメーカでは回路定数で低域周波数を遮断しているが、そうで無い場合(カタログ特性を良く見せかけたい、など)は極端な音質劣化かスピーカー(ドライバー・ユニット)の破損に至る。その場合、音楽再生は厳しく、低音部の振幅の大きい軍艦マーチなどは最悪!スピーカを壊すことがある(右翼の街宣車のバリバリ音!あれはドライバーが壊れてる(自業自得!笑)。特に小口径スピーカの場合には「スピーチ」位置で使うか、低域をカットするなど気を付けて使うこと。パワー応答下限300Hzで600W出せるアンプが100Hzでは周波数比2乗の70W以下で飽和するのは当たり前の特性である。低音が混じるとたった70W以下で中高音域も歪んでしまう。
ホーン遮断周波数以下で電力を加えるとドライバーが破損する。最近はあまり見掛けないが昔は強調されていた。アンプと拡声器のセット販売というのはこの破損限界のバランスを取っている可能性がある。(=小口径ホーンの破損に注意:低音域を加えない。音楽は注意。
汎用の拡声器アンプなら本来はホーン遮断周波数に合わせて
下限周波数調整が必要)
# ホーン遮断周波数<周波数特性下限 & パワー応答下限≦周波数特性下限が安定動作条件
[16].カチカチ山注意!
電池からの電源取り出しには「地絡フューズ」を
うっかりバッテリーをショートさせると配線は灼熱炎上し、運が悪いと車が丸焼けになる。取り出し配線を点検孔の金属の蓋で挟んだりしている訳だから、取り出し直後に地絡対策のフューズを挿入しよう。メーカー取説にはこれが入っていないものがあるので要注意。その容量は地絡で飛ぶ値。これをアンプ保護と勘違いして設定したら、操作エラーで長時間のハウリングになった時に溶断してアウトに。最大電流の目安はアンプの保護フューズよりは大きいものを使うこと。正弦波で約「最大出力/0.7/電源電圧」と考えて頂きたい。アンプ内のフューズはあくまで内部故障保護の役割で、配線途中の地絡には全く効かない。
#この地絡フューズを書き込んでない取説(
Uni-Pex NB-1502等)は訂正すること。その社(
Uni-Pex)も2000年以降の製品から改めるとのことだが、それ以前の取説は放置。でも取説は既に捨てられていて関係ないのかも(笑
[17].信号レベル不統一!
放送機器などでは「0dBm」(=600オーム負荷で1mW電力消費を0dBと定義して、直線範囲を+10dB程度保証する接続規格になっている。換算すると0.775V=SQRT(1/1000W×600Ω)。ところが分野毎にこの定義が違う。拡声器の定格は「0dBV」で、1Vを0dBとしている。ポータブルのオ−ディオ機器ではこれが0.1V(−18〜−20dBが多いが、他に
8Ω負荷で1/10〜1/20減衰器(−20dB〜−26dB)を噛ませるなどの製品もあり、無負荷では発振するのを抑えている。最も極端にはマイクの−50dB〜端子に減衰器を介して接続も考えられるほどレベルも接続プラグも不統一で、レベル合わせができないと接続できない(ことを知った)。外部入力レベルが0.1Vだけのパワーアンプは、地上使用だったので、プラグに応急ヤグラ配線の減衰器を組んで(1/3)×(1/3)くらいのレベルを目処に半固定ボリュームを取り付けて切り抜けたが、これは機構的に脆弱で一般の人には操作を任せられない。
そうした調査なしに外部機器の接続を引き受けないこと。現場にメンテ担当自身が貼り付けない車載でのヤグラ配線はまず無理だろう。ブースター・アンプに適したまともなコントロールアンプが無く、市販オーディオ用ミキサーの乾電池動作で代用させた前担当者はエライ!でも苦労して評判を落とすだけ(笑)。簡単なものだという思い込み(=一般常識)が敵なのだが、
[18].雨水流入でアウト!ハンドマイク!
雨中のハンドマイク宣伝に出掛けた学生ボランティアが、持参したハンドマイクの音が出なくなって戻ってきた。様子を見ると、上方の窪みに集まった雨水が全部基板に流れ込むTOA製特有の構造。都会の酸性雨では微妙な動作点が変わって不動作になるのは無理もない。学生達の少ない小遣いで買った大事な機材!引き揚げまでに修理完了しようと、即バラして回路部を水道水で良く流して水切りしドライヤーで乾燥後、組立。見事復旧!応急の雨水進入防止にコンビニ袋を被せることを提案。あの大きさがあれば乾電池ごときで過熱には至らない。それにしても電子回路基板を深井戸揚水とはいえ水道水洗いで復旧とはねぇ!
[19].テーピングは駄目!中継コネクター
機器の接続にプラグジャックの「中継コネクター」を使っていたが、抜け落ちを怖れてビニールテープでグルグル巻きにしてあった。これだと内部バネの力がビニールテープに受け止められて、電極の接触圧にならず、まず接触不良になる。抜け落ち防止はコード同士を縛ること。プラグジャックの中継コネクターは使わないことが原則で、使う場合は接続部をフリーにしておく。
実は、これが原因で本番中にスピーカ4本中2本の音が出なくなり、トラブルを追い掛けられる人が来られず、居合わせてうっかり手を出して夜間修理を敢行!以後、待ったなしの中古アンプ整備に巻き込まれる泥沼のトホホ状態となった。
エライ人はアンプが動いて当然と思ってるのが多いから、トラブれば非難で、労働者なら即早退修理を求められるし、修理や整備に大変な時間を取られても趣味だけやってる!と後ろ指だったりで、仕事柄整備能力を持つ人達はかなり居るけれど、それを隠して逃げ回り各団体の本来作業をしたがるのは当然なのだろう。
[20].撚り線のカシメ止めは接触不良のもと!
ハンダ揚げで補強か、専用ケーブル使用を
近年の電気配線はほとんどカシメ端子になった様だが、そこに繰り返しの力が加わると、撚り線の場合は緩んで接触不良を起こす。事前にいくつも緩みを発見!念のため全部ハンダ揚げをした。結線図が残されないので、配線途中の見えない場所に接続点があるとトラブルになっても発見が困難。本番中の応急措置としてはメタルコンセント式の場合はスペアのケーブルで直結して、不良配線を放置するのが最適。現場で数分で治せて、終了後に本格修理をすれば良いから。
[21].屋外・床下でのギボシ接続は接触不良のもと!
雨に晒されたら接触不良も無理がない
専用ケーブルを切断した業者[11]は、それを車外でのギボシ端子接続で復旧していた。スピーカ1本音が出てない!と再び呼び出されて追跡。表示灯で見る限りケーブルに問題。スペア・ケーブルで繋ぎ直してクリア。選挙終了後点検すると車外看板下の見えにくい場所にギボシ端子接続があって、ここでの接触不良(夜8時を過ぎてから音の出る点検なんてやれない!)。
補助椅子が特殊接続ケーブルを踏んで折損、時々無音という事故もあった。簡単に手の届かない場所や踏まれる場所、風雨にさらされる場所でのギボシ端子接続は厳禁だ。コードを長目に回して踏まれたり引っ掛けにくくして、やむを得ない接続点は濡れずに抜けにくく点検しやすい位置にすること。
[22].トホホの寿命フューズ!主電源用電解コン
人声があまりのモゴモゴ音で、原因調査の結果、電源コンデンサー2200μF〜4700μFの容量抜け不良。その発生率があまりに高すぎて不審に思い、回路を調べると、重畳交流電流が10A以上なのに、コンデンサーの最大定格では1〜1.8A!このため1〜2回の選挙を経るとアウトになる。セットメーカーでは当初製品のニチコン製から日ケミ製に切り替えて対応を取っていたが、日ケミ製でも当然過負荷で、アンプのいくつかは次の選挙には使えないハッキリした寿命フューズになっていた。
いわゆる「SONY タイマー」の比ではない高率(笑)。
対応法は高リップル型コンデンサー数個に交換した
(4700μFが1本なら2200μFを3〜4本並列に交換:
参考図)。
最大定格からすればニチコン製が悪い訳じゃありません(それじゃニチコンがあまりに可哀想!=日ケミの技術談。率直さは信頼に値するので相談は日ケミ技術へどうぞ。
私なら「ニチコンはDQN」と説明しそう(笑)。
(電源チョークの無い
最近の機種では、その交流大電流をバッテリーも負担するので、太い線で短く配線すること。容量抜けが起こらなくなる。
なお主コンデンサー保護に最近はCR遅延回路とリレーを導入してるので、その部分は分からないままいじらないこと)。
[23].平行コードで発振!
構内放送機器などで音声出力 100V規格を見掛ける。これはスピーカーを平行コードで配線すると総延長が 10m〜100mで寄生発振を起こすものが少なくない(3次巻線からの負帰還など一応の対策は採っている様だが)
解決策には
@低インピーダンスで接続(=距離があると不可能)
A配線の総延長規制、又は、固定配線なら線間距離を拡げる
Bスピーカ負荷に直列にその1/2程度の(電力用)抵抗挿入
(=構内放送設備で非公式に良く用いられた奥の手)、
がある。
地域盆踊りで拡声器の設営当番を命じられ、学校のお下がりと見られる盆踊りアンプ2台が配線長20m超と60m超で「キャ〜〜〜〜〜」という寄生発振を起こし、その分スグ飽和するのでA方式で解決し、以後の設営マニュアルを作って添付したのだが『今年の盆踊りは音が大きすぎ!何をやったんだ!』と強烈なクレームが入ったとか。どっち転んでもトホホ!
必要以上の大音量になった原因は、舞台が4スピーカーの中央で音のエアポケット状になり反射音ばかり強く聞こえて直接音が聞こえにくくなり、盆踊りの指導者がそれを知らずにボリュームアップを強く求めて、本来の寄生発振のない最大出力で過大音量になった。会場設営の一環として事前に音の分布テストが必要なのだが、それは職人芸の世界で、特殊なノーハウが必要だから、我々シロートにはなかなか難しい。大イベントではそれを業者が請け負って音響環境の均一化を図っていて、上手い!と思うことがある(当然、下手なやつも居る。一般人はまず気付かないけど(笑)。
この設営の相棒は元航空自衛隊整備兵で某軍需航空機器工場の技術者。実にシッカリした接続線を事前に準備してくれて、接触不良や短絡を全く疑わずにトラブル対応が出来て有り難かった。戦闘機が加速度7Gで飛び回って不具合を起こさない軍需製品の配線技術だと感心!家電の好い加減さとは確かに違う!これ以降10年経つが添付したマニュアル・カードと相俟って一度も盆踊りSOSがないのだ。
[24].小音量でも歪まない様にして!
住宅街深く静かに訴えたい!
大出力時にはマスクされて問題にならないが、確かに小出力でかさついた不快な音がする!なかなか良い耳の候補だ!住宅街深く入り込んで静かに訴えたいとは思ってもみなかった相談。こうした配慮の積み重ねで 支持が拡がる。人気は美人のせいだけじゃあなかった!やっぱり。
宣伝戦の裏方として是非優れた装置・武器を準備したい!回路図と動作電圧/電流を眺めてみると、出力トランシスタの無信号電流が異様に低く、ゼロ付近に不感領域がある模様。Vbeが若干高め!おそらくVbeのロット毎のバラツキで、小振幅時に無電流の瞬間ができるのが歪みが目立つ原因だろうが、小振幅での歪み率は仕様に無いから改善要求は難しい。第一、販社が全くかまってくれないほど古い!そこで改善のため(修理の範疇を越え設計領域に踏み込むが)別紙2−CD図の改造で無信号電流を増やして切り抜けた。右翼街宣車の国民威嚇用大電力領域にばかり目を向けちゃアカンぞ!Uni-Pexさん!(笑。国民威嚇用右翼街宣車はUni-Pexのホーンスピーカーを載せてるのが目立つもんなぁ。
[Last].報告集中体制とメンテ班確立はいかが?!
不具合頻度から考えて、その情報の集中と、メンテ係育成が必要では?製造組立や自動車関係の労働者なら男女を問わず簡単なレクチャーで設営・点検・調整は可能になるだろう。
以上、04/07/23記